資源循環に基づく作物土壌病害の有機防除法の開発

【資源循環に基づく作物土壌病害の有機防除法の開発】

これまでの研究で、土壌に鋤き込んだ堆肥や作物残渣などの有機質資材が、作物の苗立枯病や根腐病を抑止する効果を検証した結果、堆肥はもとより、ラッカセイやタロイモのほか、特定のアブラナ科作物の植物体(作物残渣)を鋤き込んだ土壌で発病が顕著に抑制され、そのような発病抑止効果は、有機物の施用に伴って土壌で特異的に増殖する有益な拮抗微生物の活動に起因することが判明しました。そしてその後検証を重ねた結果、抑止効果は堆肥や作物残渣に限らず、もっと単純な分子構造の有機物である砂糖やコーンシロップのほか、糖類に加え無機肥料成分を多く含む糖蜜でも病害が効果的に防除できることが明らかになりました。この場合の抑止メカニズムは、堆肥や作物残渣を土壌に鋤き込んだ場合のメカニズムとは異なり、現在その解明に取り組んでいます。そこでこの研究では、抑止メカニズムの全容を今後明らかにして、サトウキビやテンサイからショ糖を生産・精製する際に生じる副産物である糖蜜を、栽培圃場に還元施用して作物病害を防除する一方で、この貴重な農業資源を有効に循環させる栽培技術を確立することが目標です。

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