村井 保

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村井 保

(むらい たもつ)

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テーマ

アザミウマやアブラムシ類など植物ウイルス病媒介昆虫の生態と関連する生物間相互作用に関する研究

内容

私たちの研究室では各種のアザミウマ類、アブラムシ類の室内飼育体系を確立しており、多くの種を維持しています。これらアザミウマやアブラムシ類を中心とした微小害虫の生活史や生活環の多様性、関連する生物との相互関係について基礎的あるいは応用的な研究を行い、総合的防除技術の発展に貢献することを大きな目標としています。アブラムシ類に関しては、近年アメリカ合衆国に侵入定着したダイズアブラムシの我が国における生活環や生活史の多様性の他、発生抑制要因としての天敵類の評価などについて研究を進めています。これらの研究テーマについては、2006年4月からアメリカ合衆国パデュー大学昆虫学部との二国間共同研究を開始しました。その他、アブラムシ類の分類や多型現象に関しても研究しています。

アザミウマ類に関してはトスポウイルス類を媒介することがよく知られ、近年問題となっているアイリス黄化ウイルス病(IYSV)の媒介実験系を構築するとともに各種アザミウマ類の媒介能力を明らかにする研究を行っています。微小害虫の防除技術としてバンカープランツなどを用いた天敵の効果的利用技術の開発や高濃度炭酸ガスの利用について検討し、これら技術の環境保全型害虫防除技術としての確固たる位置づけを確立したいと考えています。また、東南アジアにおける野菜を中心とした害虫類に対する有望天敵の探索とその利用技術の開発に関する研究も行っています。

主な業績

  • Murai, T. and A. J.M. Loomans (2001) Evaluation of an improved method for mass-rearing of thrips and a thrips parasitoid. Entomol. Exp. Appl. 101,281-289
  • Toda,S. and T.Murai(2007) Phylogenetic analysis based on mitochondrial CO1 gene sequences in Thrips tabaci Lindeman (thysanoptera:Thripidae) in relationto reproductive forms and geographical distribution. Appl. Entomol. Zool. 42(2):309-316
  • Tsumuki,H., H.Ishida, H.Yoshida, S.Sonoda, Y.Izumi and T.Murai(2007) Cold hardiness of adult western flower thrips, Frankliniella occidentalis (Pergande) (Thysanoptera:Thripidae). Appl.Entomol. Zool. 42(2):223-229.
  • Shu-Yun Zhang, Satoshi Kono, Tamotsu Murai and Tadashi Miyata(2008)Mechanisms of resistance to spinosad in the western flower thrips, Frankliniella occidentalis (Pergande) (Thysanoptera:Thripidae)  Insect Science 15, 125-132
  • 2. T.Inoue, T. Murai and T. Natsuaki(2010)An effective system for detecting Iris yellow spot virus transmission by Thrips tabaci Plant Pathology Doi: 10.1111/j.1365-3059.2009.02224.x

〈著書〉

  • 「昆虫の低温耐性-その仕組みと調べ方 飼育法 アブラムシ類」 積木久明・田中一裕・後藤三千代(編集).  村井保、岡山大学出版会 p.254 (2010)