2024.12.11 大学構内の銀杏

 構内の銀杏がきれいに黄葉していました。紅葉と黄葉がありますが、銀杏は黄葉になるそうです。紅葉は緑色の色素を分解しつつ、赤色色素を作る植物で起こる現象で、黄葉は緑色の色素が分解され、黄色の色素がまだ分解されずに残っていることで生じる現象だそうです。大学構内の銀杏の黄葉は少しピークを過ぎたところで、落葉が目立ちましたが、きれいでした。

 形態学では、形態の記録をするのに写真を用います。つまり、一眼レフカメラをきちんと使えるようにならなければなりません。常日頃から、写真撮影を楽しみながら腕を上げておく必要があり、この日も練習として、銀杏を撮りました。

2024.12.06-09 愛媛調査

 愛媛大学沿岸環境科学センターに冷凍保存されている、小型鯨類を解剖しに出かけました。今回、うちの学生は金欠病のようで、参加しませんでしたが、スジイルカ3個体、コマッコウ2個体、ハナゴンドウ1個体を愛媛大学、長崎大学、岡山理科大学、北海道大学、国立科学博物館、その他個人参加の人たちで、解剖&サンプリングを行いました。

 事前情報通り、腐敗した個体が多かったのですが(海岸に死亡漂着した個体なので、腐敗していることが多い)、腐敗が進行していることで観察できるものもありました。骨膜からきれいに剥がせるので、軟骨と硬骨の境界を観察できたり、筋の停止腱を簡単に剖出できたりと、収穫もありました。腐っているからと、舐めてはいけません。できることがたくさんあるのです。

 コマッコウ(正確に言うと、コマッコウ属鯨類Kogia sp.)の幼獣は腐敗が顕著で、外貌からは種同定が困難でした。コマッコウ科Kogiidaeには、1属2種、コマッコウK. brevicepsとオガワコマッコウK. simaがいます。コマッコウのほうが成獣の体長が大きい、オガワコマッコウと比べて背びれが尾側に位置し、小さく低いなどの特徴がありますが、腐敗していたり、幼獣であったりすると、特徴が不明瞭なこともあります。頭骨の形態からは、K. brevicepsかな?というところでした。これから骨格標本にし、改めて種同定を行うことになります。骨にしてみないと、種がわからないことも多々あるのです。いつどこにどんな生物がいたのか、これを記録することが自然史研究の始まりですが、種が不明では何を記録しているのか分かりません。種同定は必ず行わなければなりません。種同定を確実にするためには、やはり死亡個体を標本とし、保存しておくことが必要です。標本を保存しておけば、あとから種を同定し直したり、分類が変わったときに、再分類したりできます。また、それ以外の研究にも活用できます。改めて、できるだけ標本を残したいなと思った調査でした。

 余談ですが、愛媛県の松山城は山の上に天守閣があり、すごくかっこよかったです。

2024.09.06-09 哺乳類学会@神戸 & 2024.09.13-16 鳥類学会@東京

今年度は日本哺乳類学会と日本鳥類学会に参加してきました。哺乳類学会の行われた神戸はまだまだ暑く、エアコンのない体育館でのポスター発表は大変でした。それでも、全員がしっかりとした発表を行えたと思います。発表時、その後と、多くの先生方から、学生の発表に対してお褒めの言葉をいただきました。夜は、神戸の街で美味しいものをたくさん食べました!鳥類学会では、打って変わって、クーラーの効いた涼しい部屋で発表が行われ、ホッとしました。学生の発表は、小さな問題もありましたが、元気に発表できました。めでたし、めでたし。

2024.03.07 骨格標本のライトアップ

 学生の作ったハクビシンの交連骨格をライトアップしてみました。初めて作った交連骨格にしては、非常によくできています。骨格標本はやっぱり美しい。動物の体は実によくできていて、理にかなった構造をしています。理にかなった構造は美しいのだろう。

 ハクビシンは外来種に認定されている動物で、もともとは日本にはいなかった。江戸時代の文献には江戸に棲息していたことが記録されているので、江戸時代かそれよりも前に日本に入ってきたのだろう。もともとの棲息地は中国から東南アジアにかけての広い範囲であるが、中国では古来より宮廷料理として食されていた高級食材である。もしかしたら、将軍様への献上品として生体が輸入されていて、それが逃げ出したことが日本に定着するきっかけだったかもしれない。

2024.03.03 日光シカ調査

ギャラリー

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 学生と一緒に、日光の方にシカのサンプリングに出かけてきました。宇都宮大学から日光までは、車で1時間15分程度です。近い!ここが宇都宮大学の良いところです。大学から少し移動すれば、自然がたくさんあります(日光の他にも、那 … 続きを読む

2024.02.22–23 大阪湾のマッコウクジラ

 2024年1月12日(?)に大阪湾内で目撃が相次いだマッコウクジラですが、2月に入っても湾にとどまっていました。おそらく衰弱していたために、穏やかな湾内にいたのでしょうが、そのまま衰弱死してしまいました。大阪湾では、昨年も同様のことが起きていて、昨年に死亡したクジラ(淀ちゃん)は海上投棄されました。今回は、大阪府知事や現場の方々の理解と協力のもと、骨格標本(←これ自体が貴重な研究試料です)の保存や研究サンプルの採取など、科学的な調査ができました。2024年2月22日〜23日にかけて、日本鯨類研究所が指揮のもと、大阪市立自然史博物館、国立科学博物館、その他学術機関のメンバーが集まり、調査を行いました。私達もその中に入れていただき、解体しながらサンプリング等を行いました。

 こういう調査は、得てしてドタバタ、過酷なんです…今回は、まず21日の午後9時に宇都宮を出発し、夜通し運転して、22日の午前5時半ごろ大阪に入りました。仮眠をとって、現場に向かいました。現場につくと、このときには眠さというものは無く(きっと、アドレナリンが出ているんでしょうね)、ワクワク感でいっぱいでした。しかし、22日はクジラを海から引き上げて移動するだけで終わってしまいました。「だけ」といってもスゴク大変なことです。何十トンもある動物をクレーンで吊ったことのある人はそうそういません。重機のオペレーターさんたちも初体験なわけです。そして、予想外のことが度々起こります。現場の方々には本当にお世話になりました。23日に解体開始、クジラの体の上に登って皮を切っていきます。そして脂皮と筋の間に刃を入れながら、皮を観音開きのようにして剥いでいきます。これが大変でした。皮が予想以上に硬くて、手間取りました。ただし、肋骨外しは思いのほか、スムーズに進みました。肋骨外しで、挽回した感じです。この間に、腹腔内臓器を調査、その後は頭部を胴体から切り離し、胸腔内臓器を調査して、なんとか最低限の調査を済ませたという感じでした。2日間とも小雨が降ったり止んだり、足元は泥まみれ、強い腐敗臭(←専門家は慣れていますが)、それに加えてトイレがないという状況(←フィールド調査ではよくあることです)で、全員が集中力を切らさずに、調査を進められたことがよかったと思います。経験はお金では買えない。ほんとうに楽しく学ばせていただきました。大型獣の解剖は体力仕事です。作業時は、アドレナリンも出ていて、また「私達がと、やるしかない」という感覚ですおりますので、あまり疲労を感じませんが、次の日は、体がバキバキです。それでも、せっかく大阪に来たのだからと、24日は少しだけ大阪を感じてから(通天閣を見て)、帰路につきました。

 ちなみに、解体の様子は、MBS NewsというYouTubeチャンネルで、ライブ配信されていました。興味のある人はこちらをどうぞ→ https://www.youtube.com/live/zOmXxCELBvI?app=desktop&si=5s-KhdrB1g2Py0Gp

2023.12.18 千葉県のキョン

 千葉県では、キョンが野生化し、個体数が激増しています。もともと日本に生息していなかったキョンが日本で野生化すれば、日本の生態系は崩れてしまうでしょう。そこで千葉県では、キョンの駆除を行っています。人間が連れてきた動物を邪魔になったからと言って駆除するなんて、人間は身勝手です。ですが、駆除は必要な措置でもあると思います。私達は、研究や教育に活用しようとしています。駆除された個体を単に焼却処分するのではなく、知的財産を生産するために活用するのです。今回は、千葉県で駆除されたキョンを研究用に提供してもらうため、千葉県を訪れました。

 私達が訪れたのは、房総半島のほぼ中央に位置する市原市という場所です。東京からアクアラインを通り、木更津から東にドライブをしたことになりますが、海も山もある自然に恵まれた魅力的な場所でした。これだから、野生動物がたくさん生息しているのだと感心しました。動物にとっても心地よいのでしょう。日本のイノシシやニホンザルだけでなく、外来種のキョンも増え、アカゲザルも増えています。千葉県の担当の方によると、キョンは分布域を拡大させるときに、オスが最初に新しい土地に入るのだそうです。オスの方が行動権が広いということでしょうか。また、野生化したアカゲザルはニホンザルと交雑し、千葉県の多くのニホンザルには、アカゲザルの遺伝子が入ってしまっていることも聞きました。自然の状態では交雑しなかった別種の動物が交雑すると、場合によっては、新しい第3の種が形成されることもあります。やはり、身勝手ではあるが、外来種の駆除は行わなければならないのかもしれない、と改めて感じました。

 野生動物の勉強をしながら、道中は千葉県を楽しみました。今日は天気もよく、アクアラインに入る手前(東京側)から富士山を眺めることができ、幸先の良い旅でした。海上のサービスエリア「海ほたる」の回転寿司は最高でした。木更津市の「うまくたの里」という道の駅では、ピーナッツや醤油、塩レモン関連の商品が所狭しと並べられていて、見ているだけでも楽しかったです。馬来田駅は、木造のレトロなかわいらしい駅で、ついつい写真撮影をしてしまいました。

2023. 11.22 蠕動ポンプ!!

 死亡したイルカ(新生仔)を研究に活用しようと、還流固定を試みた。が失敗、失敗、失敗…圧がかかるのか、ホルマリンがなかなか上手く入っていかない。凝固した血液が血管をつまらせているのだと考え、溶かすためにホルマリンを弱アルカリ性になるよう調整し、再トライ! …上手くいかない (T_T)

 どうやら血管よりもカテーテルがやや太く、カテーテルが血管にしっかりと入っていないようだった。穴をあけたところから漏れているようだった。そこで、マイクロチューブというものを試してみた。シリンジにカテーテル、カテーテルの先にマイクロチューブ(ここでは内径0.2mm、外径0.4mmのもの)をつなぎ、イルカには挿入せずに、外圧のない空気中で水を出してみた。外圧がかからないはずなのに、これが意外とシリンジを強く押し込まないと水が出てこない。当たり前だが、徐々にチューブが細くなっているので、圧力をかけないと、液体をマイクロチューブの先から出すことはできないのである。

 医学部ではきっと良い道具があるのだろうが、きっと高価だ。うちでは買えないので、google検索で蠕動ポンプなるものを見つけた。これを試したら…なんと!上手く入っていくじゃないですか!!夢が広がる!今後、蠕動ポンプでいろいろやってみようと思う。

2023. 11.11 3研究室合同ゼミ

久しぶりの投稿です。新型コロナの影響で活動が制限されていましたが、やっと通常の活動ができるようになり、2023年11月11日、奥田研究室(岡山理科大学)と郡司研究室(東洋大)、うちの3研究室で合同ゼミを行いました。形態学好きの人間の集まりです。各大学の卒論生や修論生が研究発表を行いました。いつもと違うメンバーで、意見交換ができたので、すごく楽しかったですね。学生も思いの外、楽しんでいたようで (^o^) ところで、今年のトレンドは、「しっぽ」なのでしょうか・・・

2021.10.28–29 ザトウクジラの胸びれ

 研究室に新しく配属された3年生と一緒に、まっ工房に行ってきました。2日間とも天気に恵まれ、ザトウクジラの胸鰭のそうじや骨洗いを楽しく行うことができました。ザトウクジラの指骨と関節軟骨を近心から遠位に向かって観察してみると、あらら?

2日目は、帰り道に沼津の深海水族館に行ってきました。シーラカンスは何度見てもすごいと思ってしまう。お昼は、やっぱり海鮮でしょう!