【高品質/高収量をもたらす浸水栽培土壌における微生物機能の解明】
これまでの研究で、多潅水によって泥状になった浸水土壌で作物を栽培すると、「根腐れ」などの障害が生じるどころか、特にKNO3等の無機肥料を多用した場合には、慣行栽培と比べて作物の生長は飛躍的に増進することが繰り返し実証されました。実際県内のトマトやイチゴ、ニラ等の生産者でも、浸水栽培を始めたその年から収量が2~3倍に増大することも珍しくありません。浸水栽培で作物が旺盛に生長して収量が倍増する原理には、浸水土壌環境における化学的な反応や微生物による作用が相互に関与することが解明されつつあるものの、酸素(O2)が実質上存在しない泥のような土壌で作物の根が健全に生長する理由を含め、まだその全容の解明には至っていません。よってこの研究では、浸水土壌での微生物の機能と化学的作用の双方を究明して、小さな圃場面積で高収量かつ高品質の作物栽培を可能にする浸水栽培の原理を完全に解明し、その理論を確立して県内外の生産者への普及に努めます。