研究内容

私達の研究室では、総合的害虫管理技術の発達に貢献する事を目的として、各種農作物の重要害虫の生理、生態、生物間の相互作用について、生態学的、分子生物学的手法を用いて解析を行なっています。

アザミウマ類の簡易薬剤抵抗性キットを開発しました                                                           薬剤を含む寒天でコーティングしたガラスピペットを用いたアザミウマ類の簡易薬剤抵抗性検定法を開発しました。この手法では、圃場で採集されたアザミウマ類を直接試験に供試して、結果を24時間後に判定できます。本手法は、従来法に比べて、速やかに抵抗性を検出できる、植物体を必要としない、比較的長時間の試験も可能といった利点を持ってます。            論文:Aizawa M, Nakai K, Watanabe T, Kumano A, Tamagaki K, Sonoda S (2018) A simple method for monitoring cypermethrin resistance in Thrips tabaci (Thysanoptera: Thripidae) using agar-coated glass pipettes. Appl Entomol Zool (in press)

ダイズの害虫ジャガイモヒゲナガアブラムシとダイズアブラムシの高温に対する感受性は異なります                                                    内容:高温がジャガイモヒゲナガアブラムシとダイズアブラムシの発育と増殖に及ぼす影響を調べ、前者は後者よりも高温に対する感受性が高いことを明らかにしました。           論文:菊池孝信・加藤寛・香川清彦・園田昌司・村井保(2018)応動昆 62(印刷中).

ネギアザミウマにおける産雄性単為生殖系統の分布拡大要因の一端を明らかにしました 内容:ネギアザミウマにはメスのみを産む産雌単為生殖(産雌)系統と、交尾した場合は雌を産み、未交尾の場合は雄を産む産雄単為生殖(産雄)系統がいます。もともと日本にいたのは産雌系統で、産雄系統が見つかったのは1988年とされています。それ以来、産雄系統は産雌系統を押しのけるように分布域を拡げつつありますが、なぜでしょう?本研究において原因の一端は、産雄系統は殺虫剤抵抗性を発達させやすく、また抵抗性の発達により発育速度や産子数が低下しないためであることが明らかとなりました。                         論文:Aizawa M, Watanabe T, Kumano A, Tamagaki K, Sonoda S (2018) Biotic performances of thelytokous and arrhenotokous strains showing resistance to cypermethrin in Thrips tabaci (Thysanoptera: Thripidae). Appl Entomol Zool (in press)

海外におけるトビイロウンカとセジロウンカの殺虫剤感受性の報告です            内容:トビイロウンカとセジロウンカは北ベトナムから中国に移動し、梅雨時に下層ジェット気流に乗って中国から日本にやってきます。そのため、発生源である東アジア、紅河デルタ、メコンデルタにおける各種殺虫剤に対する感受性を明らかにすることは、日本における両ウンカ種の防除を考えるうえで重要です。本研究では近年の両ウンカ種の殺虫剤感受性の変化を明らかにしました。                                              論文:Matsumura M, Sanada-Morimura S, Otsuka A, Sonoda S, Thanh DV, Chien HV, Tuong PV, Loc PM, Liu ZW, Zhu ZR, Li JH, Wu G, Huang SH (2017) Insecticide susceptibilities of the two rice planthoppers Nilaparvata lugens and Sogatella furcifera in East Asia, the Red River Delta, and the Mekong Delta. Pest Manag Sci (in press)

2017年8月                                                   コナガ個体群におけるジアミド剤抵抗性遺伝子の頻度の季節的変化を明らかにしました  内容:害虫の殺虫剤に対する感受性は越冬直後に高く、その後低下すると言われていますが、そのことが科学的データによって裏付けられたことはありませんでした。本研究ではまず、野外のコナガにおけるジアミド剤抵抗性遺伝子頻度は春から夏にかけて徐々に上昇し秋に低下することを明らかにしました。また、次年度春先の個体群における抵抗性遺伝子頻度は前年度晩秋の頻度とよく似ていることを明らかにしましたが、このことは当該年のコナガ管理におけるジアミド剤の効果が前年の抵抗性遺伝子頻度調査に基づいて評価できることを示唆しており、植物保護の観点からも重要です。                                 論文:Itagaki Y, Sonoda S (2017) Seasonal proportion change of ryanodine receptor mutation (G4946E) in diamondback moth populations. J Pestic Sci 42, 116-118.

2017年8月                                                   ハダニ管理におけるヤイトバナの天敵温存効果を調べました                    内容:ヤイトバナはモモ圃場の下草として最も多くのカブリダニを長期間にわたって維持しています。本研究ではまず、ヤイトバナはハダニにとって不適な植物であり、発生源とならないことを明らかにしました。次いで、株元にヤイトバナが繁茂するモモの樹とヤイトバナのないモモの樹におけるハダニの発生量を調べました。ヤイトバナが繁茂するモモの樹ではハダニの発生量が少ない傾向が認められましたが、そうでない場合もありました。今後、ヤイトバナの天敵温存効果が期待できる条件を明らかにすることが望まれます。                   論文:David Wari・佐藤翼・山下純・園田昌司(2017)カブリダニ類(ダニ目:カブリダニ科)の天敵温存植物ヤイトバナ(アカネ科)がモモ圃場におけるハダニ類(ダニ目:ハダニ科)の発生に及ぼす影響. 応動昆 61, 178-183.

2017年8月                                                   炭酸ガスを用いたナミハダニ防除の話です                                内容:定植前のイチゴ苗を高濃度の炭酸ガスで処理することで、付着したハダニを死滅させ、本圃への侵入を防ぐ手法が実用化されています。本研究では、高温条件でハダニに対して炭酸ガス処理を行うと、より処理時間が短縮できることを明らかにしました。             論文:板垣有紀・加藤寛・香川清彦・園田昌司・村井保(2017)高温条件下における高濃度二酸化炭素処理がナミハダニ(ダニ目:ハダニ科)雌成虫および卵に及ぼす影響. 応動昆虫 61, 175-177.

2017年5月                                                   コナガ個体群のジアミド剤抵抗性遺伝子頻度を推定するための手法を開発しました     内容:害虫の殺虫剤抵抗性を遺伝子情報に基づいて個体レベルで解析するための手法は多数ありますが、個体群レベルで解析するための手法は少ないのが現状です。本研究では、コナガ個体群におけるジアミド剤抵抗性遺伝子の頻度を推定するための手法を開発しました。また、抵抗性遺伝子頻度に基づき、ジアミド剤の効果を推定できる可能性を示しました。   論文:Sonoda S, Inukai K, Kitabayashi S, Kuwazaki S, Jouraku A (2017) Molecular evaluation of diamide resistance in diamondback moth (Lepidoptera: Yponomeutidae) populations using quantitative sequencing. Appl Entomol Zool 52, 353-357.

 2016年11月                                                 ネギアザミウマの産雌性単為生殖系統も殺虫剤抵抗性遺伝子を持っています          内容:ネギアザミウマの産雄単為生殖(産雄)系統は1988年に報告されて以来、分布域を拡大させ続けています。また同時に、本種における殺虫剤抵抗性の問題が顕在化しています。それでは、産雌単為生殖(産雌)系統は殺虫剤抵抗性を発達させることができないのでしょうか?本研究により、産雌系統にも潜在的には殺虫剤抵抗性遺伝子をもつ能力があることが明らかになりました。                                                 論文:Aizawa M, Watanabe T, Kumano A, Miyatake T, Sonoda S (2016) Cypermethrin resistance and reproductive types in onion thrips, Thrips tabaci (Thysanoptera: Thripidae). J Pestic Sci 41, 167-170.

2016年11月                                                  カブリダニ類は食性に関わりなく花粉を利用しています                        内容:カブリダニは食性に基づいて4つのタイプ(タイプI:Tetranychusのスぺシャリスト捕食者、タイプII:ハダニ科ハダニのスペシャリスト捕食者、タイプIII:ジェネラリスト捕食者、タイプIV:ジェネラリスト捕食者/花粉食者)に分けられています。本研究により、食性の異なるミヤコカブリダニ(タイプII)、ニセラーゴカブリダニ(タイプIII)、コウズケカブリダニ(タイプIV)はいずれも、ハダニが存在している条件でも花粉を利用していることが明らかになりました。                   論文:Wari D, Yamashita J, Kishimoto H, Sonoda S (2016) Utilization of plant food resources by phytoseiid mite species with different feeding habits. Appl Entomol Zool 51, 539-547.

2016年8月                                                   炭酸ガスを用いたアザミウマ防除の話です                              内容:定植前のイチゴ苗を高濃度の炭酸ガスで処理することで、付着したハダニを死滅させ、本圃への侵入を防ぐ手法が実用化されています。この手法はアザミウマ類に対しても有効であることが、我々の先行研究で明らかにされています。本研究では、高温条件で炭酸ガス処理を行うと、より処理時間が短縮できることを明らかにしました。                  論文:Miyata K, Kikuchi T, Katoh H, Kagawa K, Sonoda S, Murai T (2016) Lethal effects of concentrated CO2 on adult females and eggs of Frankliniella occidentalis and Frankliniella intonsa (Thysanoptera: Thripidae) at a high temperature. Appl Entomol Zool 51, 441-444.

2016年5月                                                   コナガのジアミド剤抵抗性にはリアノジン受容体のアミノ酸変異が関与 していることを明らかにしました                                                   内容:本研究では、室内で飼育および野外で採集されたコナガのジアミド剤抵抗性に対する抵抗性レベルを調べました。また、ジアミド剤抵抗性の原因とされるリアノジン受容体のアミノ酸変異の有無を個体ごとに調べました。その結果、抵抗性系統にはアミノ酸変異を持つ個体がより多く含まれていることが明らかになりました。                              論文:Sonoda S, Kataoka Y (2016) Genotyping for the G4946E site of ryanodine receptor gene in Plutella xylostella (Lepidoptera: Yponomeutidae) considering gene duplication. Appl Entomol Zool 51, 195-204.