投稿者「作物栽培学研究室」のアーカイブ

今年の出穂

8月が始まり、イネの出穂時期になりました。
今年は例年より1週間早い出穂です。

出穂が始まっている系統から順に倒伏防止の紐張りと防鳥糸を設置。
この作業を155カ所で実施予定。
天気が良いと暑いし、出穂すると花粉が飛ぶので、午前10時頃までに終えます。
外作業はダラダラせず、効率よくテキパキやるのが大事です。
あとは落水時期まで除草作業を数回行っていきます。

予想より早い出穂ということで、計画していたすべてのスケジュールが前倒しとなりました。
計画通りに研究を進めるため、スケジュールを再調整中です。
とりあえず、天候に邪魔されなければ大丈夫でしょう。

  

支柱立て

暑い日が続く中、田圃に支柱を立てる肉体労働を実施。
毎年行っている作業ですが、これがなかなか大変な作業です。

今年の支柱数は昨年よりも多い、308本。
田圃まで多量の支柱を運び、計画に従い立てていきます。
一本一本、支柱がぐらつかない深さまで刺していくので、気づいたら手にまめができています。
大変な作業ですが、この支柱を使って倒伏防止用の紐張りや防鳥糸の設置を行うので大事な作業です。

朝から2時間かけて全ての支柱を設置しました。
次は出穂時期に合わせて倒伏防止用の紐張りや防鳥糸の設置を行っていきます。

  

遺伝子型確認中

6月も後半になり、少しずつイネの分げつが増えてきました。
この時期は毎年、実験材料に間違いが無いか、圃場に移植した選抜イネの遺伝子型を確認するために遺伝子型解析を行っています。

圃場のイネの葉をチューブへ移し、実験室に戻ってDNA抽出。
あとは確認予定のDNAマーカーについて、目的通りの遺伝子型かどうかPCR〜電気泳動で解析していきます。
この結果に従って、今年実験をするサンプルや次年度用の採種個体を確定するので大事な確認作業です。

解析は2週間ほど続きますが、今年も問題なく進めたいですね。

     

田植え

今年の田植えがようやく終わりました。

まずは圃場設計やMASの結果を準備。
10m × 43mの試験区を5日間、23時間かけて手植え作業。
本年度は9つの実験用に、98系統、2400個体を移植。
さらに空きスペースに2070個体を移植。
30℃近い気温や雨天の日もあり、なかなか大変でした。

計画通りの移植が完了したので、あとは除草、農薬散布、鳥害対策。
まだまだやることはありますが、田植えが終わるとホッとしますね。

  

マーカー利用選抜と代かき

田植え前の大仕事、マーカー利用選抜(MAS)と代かきの時期。
「遺伝子からフィールドまで・・・」というフレーズはよく見ますが、この時期は「PCRからトラクター」です。

まずはMAS。
今年は960個体が選抜対象。
4月に抽出したDNAについて、PCR〜電気泳動を繰り返し、遺伝子型解析を進めていきます。
解析の結果、狙った遺伝子型を有する個体をほぼ選抜できました。
とりあえずは一安心。

それと同時にトラクターで圃場の代かきを実施。
毎年水の溜まりが悪い本圃場ですが、今年はどうでしょう?

代かき1回目。
入水から5日後にまずは半分だけ縦方向へ水を広げ、2時間放置。
次に横方向へ水を広げ、1回目終了。約30%水が溜まる。
作業時間5時間。

代かき2回目。
横、縦の順で水を広げ、2回目終了。約50%水が溜まる。
作業時間1.5時間。

代かき3回目。
横方向に水を広げ、水が溜まった半分を荒代。
残り半分を縦、横の順で水を広げ、3回目終了。約80%水が溜まる。
作業時間5.5時間。

代かき4回目。
水が溜まった80%を荒代。
残りを縦、横方向で水を広げ、4回目終了。約95%水が溜まる。
作業時間6時間。

代かき5回目。
前回溜まっていなかった所を代かきし、全体を植代。
作業時間2時間。

5日かけて計20時間。
昨年より大幅増。
雨が少なく、乾燥していたことが影響したのか、かなりの長時間。
作業方法を見直す必要がありますね。

なんとか予定通りにMASと代かきが終わりました。
来週からはいよいよ田植えです。

        

出芽〜DNA抽出と圃場準備

今年は順調にイネの苗が育っています。

播種から1週間で9割以上が出芽。
安定した気温かそれともシルバーポリのおかげか、とにかく順調なスタート。
あとは様子を見ながら大事に育苗。
播種から2週間の様子だと問題なさそうです。

DNAマーカー選抜用の苗はグロスチャンバーで10日程経つとサンプリングできる状態。
1個体ずつ葉をチューブへ移し、DNA抽出へ。
これでマーカー選抜がいつでもできる状態が整いました。
あとは田植えの予定日までに遺伝子型の確認を実施するのみ。

育苗や選抜などのサンプルの準備と同時に圃場の準備も進めていきます。
まずは圃場の面積に合わせて基肥を撒く。
トラクターで表層を耕耘して、水が広がりやすくするため数周回ってタイヤ痕をつける。
そして入水開始。
毎年悩む本圃場の代かきがいよいよ始まります。

  

播種

4月になり、本年度の研究がスタートしました。

作物の研究は作物を育てなければできないということで、まずは苗づくりのための播種。
袋に入れた種子を消毒し、浸種した催芽種子をセルトレイなどに播きます。
今年セルトレの穴に1粒1粒播いた種子は計4132粒。
あとは田圃の試験区以外のスペース用に苗箱6枚分の播種。

使用しているガラス室は温度などの問題で発芽不良が起きやすい。
毎年対策を考えていますが、なかなか安定しません。
今年は基本に帰り、一般的に農家さんが使っているシルバーポリを使用。
太陽光の透過も多少あるし、プラ舟をしっかり覆うので保温・保湿は十分。
あとは春らしいポカポカ陽気を期待するのみです。

DNAマーカー選抜用のサンプルはスケジュール通りに2週間でDNA抽出できるサイズに育ってもらう必要があるので、今年もグロスチャンバーで育苗。

あとはDNA抽出〜マーカー選抜、そして田圃の施肥や代かき、最後に移植と、忙しい時期が近づいてますね。

  

春に向けて準備中

3月は春から始まる研究の準備。
今年行う実験を計画し、必要な材料、条件、期間などを確認。

確認が終えたら、準備開始。
まずは昨年選抜して採種した個体の遺伝子型確認。
DNAマーカーを細かく設定して染色体のどこからどこまでドナー由来の染色体断片が入っているか明確にします。

次に計画に合わせて播種する種子を準備。
実験に必要な個体数に合わせて種子を袋へ移していきます。
今年は8つの実験を計画しているので種子の種類が多いです。

種子の準備が終われば、今度は播種する場所の準備。
セルトレイに実験系統の種類を記して、粒状培土を8割ほど詰める。
ここまでしておけば播種当日の作業が楽になります。

準備の最後は圃場。
毎年行っている圃場内のゴミと石の撤去。
次に畦切りと穴埋め、高低差の補修作業。
そして春起こし。

あとは計画を再度確認し、修正を加えて4月からの本番へ挑むのみ。

あと最後の写真は今年の学生実験用のムギ類の生育状況。
11月の突然の雪や期間中の雨量など色々な悪条件を生き抜いたのはオオムギ半分以下、コムギ7割と厳しい状況。
気温の影響か、昨年と比べて生育も遅れています。
4月と5月の学生実験のサンプルとして使えるように大事に育てましょう。

        

ようやく成分分析終了?

2016年に採取したサンプルの成分分析がもう少しで終了。
ラストスパートと急ぎたいとことですが、最後に分析するのが最も手間のかかる構造性炭水化物。
昔からある方法を使って12月から前処理を開始し、余分な成分の除去や測定を経て、分析がようやく終わります。
実験自体が時間のかかることもありますが、毎回のガラス濾過器の洗浄と洗浄後の廃液処理が地味に大変です。

これが終われば2015年に実施した実験結果の再現性がようやく確認できます。
圃場等での作物研究では2〜3年かけて反復実験を行うことが一般的で、気象の変化で再現されない結果も出てきます。
研究を進める上で難しいところですが、コツコツと実験結果を積み上げて真実に近づくことを目指すのみ。
さて、今回の実験結果はどうなのでしょうか?

一方、本日は卒論発表会。
生物資源科学科では、取り組んできた研究についてパワポ1枚を使って1分間のフラッシュトークで説明し、その後ポスター発表する形式を取っています。
本学科ならではの植物、動物、微生物等の幅広い研究課題が紹介され、普段関わらない分野の研究が見れるのでなかなか面白いです。

 

年末の作業

2016年もあと4日。
12月末までにやるべきことは採種した種子の整理と大掃除。

今年も様々な実験用イネの種子を採種したので、各系統ごとに封筒に移して冷蔵保存します。
まずは種子を保管するスペースの問題から、過去に採種したもので不要なものを廃棄。
ここで間違えてしまうと大変なのでよく確認することが必要です。
大きな種子庫があればとりあえず取っておくことができるのですが・・・
あとは今年採種した種子を混ざったりしないように慎重に系統名が書かれた封筒へ。
この作業も間違えないように確認しながらの作業です。

種子が片付けば、あとはすべての実験をストップして大掃除へ。
作業室、居室、実験室の順で2日かけてしっかりと行います。
毎週掃除していても、普段はあまり掃除しない場所や気付かないところは汚れているので重点的に。
高いところから始めて、最後に床掃除して終了です。

全部屋の大掃除が終わると清々しい気分になりますね。