blog」カテゴリーアーカイブ

大急ぎで鳥害対策

7月になり、猛暑日がちらほらと出てきました。

田んぼでは出穂の早い系統が実り始めています。
これに合わせてスズメによる鳥害が早くも発生。
そのようなわけで急いで鳥害対策を開始。

支柱を田んぼに432本立てて、防鳥糸を設置。
ついでに倒伏が問題となる区には倒伏防止用の紐張りも開始。

とりあえず被害があったのは試験区ではなく、採種用の系統だったので助かりました。
被害のあった系統には二重で対策して、なんとか種が採れるように管理します。

30℃を超える中の作業が続きましたが、無事に設置完了。
あとは出穂に合わせて倒伏防止用の紐張りを継続。
防鳥糸による鳥害対策効果は十分ではないので、状況をみて別の対策も準備しておきます。

圃場管理とサンプルのダブルチェック

6月に入り、イネの分げつが徐々に増えてきました。
収穫期まで無事に育つように、日々イネの状況を確認しつつ、必要な管理を実施。

まずは、除草剤と殺虫剤。
試験区の面積を確認して必要量を準備し、移植から1週間後に除草剤、その1週間後に殺虫剤を散布。
そのあとは手作業による除草を行いつつ、害虫・病気の発生状況を確認していきます。

次はDNAマーカー選抜により選ばれた個体の遺伝子型を圃場の個体からサンプリングして確認。
水田圃場に入り、葉の一部をチューブに移し、DNA抽出。
PCR後に複数マーカーの遺伝子型を電気泳動後のバンドを見ていきます。

一方で特別研究員の研究も進行中。
水田圃場より採取した植物の根に含まれる菌を分離培養し、有用と考えられるものを選抜。
これと同時にイネへの接種実験をグロスチャンバーで予備的に開始。
異なる分野を含むために研究環境整備から始めたこちらの研究も、徐々に軌道に乗ってきました。

さて、来月は猛暑・酷暑の中での圃場作業を実施し、後半にはイネの出穂時期になるので生育調査や実験も始まります。
これから徐々に忙しくなるので、体調管理が大事ですね。

ひたすら田んぼ作業

5月。
気温が高い日もあり、苗が例年よりも早く育ってます。

まずは田んぼの準備として代かき作業。

1日目 3時間
2日目 4.5時間
3日目 4.5時間
4日目 8.5時間
合計 20.5時間

3日目までに十分に水が入らず、4日目は大変な作業になりましたが、なんとか無事に終了。

代かきの次は移植。
今年は8つの試験区に4758個体、空きスペースに1190個体を移植。
晴れの日、雨の日、肌寒い日、夏日の中、ひたすら手植えして7日間(25時間)で完了。

今月はほとんど田んぼ作業となりましたが、やっと一段落。
途中、畑で神山研究室の防鳥網張りを実施したりと色々他の作業もあったので、1ヶ月ほぼ肉体労働。
来週から除草剤や殺虫剤散布などの管理作業が始まりますので、少し体を休めておきましょう。


2024年度研究開始

4月、イネの研究が始まりました。

まずは播種。
3月に準備した種子を消毒、浸種し、インキュベーターで加温。
セルトレイに播種して、シルバーポリを被せて遮光し、出芽を待ちます。
出芽後はシルバーポリを外してプール育苗で管理。
今年は気温が安定していたため、順調に出芽し、一安心です。

一方でDNAマーカー選抜用の苗は実験室のグロスチャンバーで2週間ほど育苗。
各個体の葉を採取してDNAを抽出し、DNAマーカーで遺伝子型を確認。
今年は選抜対象の個体数も少なく、ホモ個体を探すだけなので7日間で選抜完了。
使用した苗はガラス室に移動し、移植まで大事に育てていきます。

4月後半には圃場の準備。
圃場内に区画を決め、全部で60kgほど施肥。
施肥後は浅耕して入水開始。
これから移植までに毎年大変な代かきが始まります。

これらの毎年恒例の作業に加え、今年からJSPS特別研究員の研究も始まりました。
研究テーマは「新規菌根菌を介したイネの窒素獲得を制御する遺伝子の同定」になります。
これまで本研究室では実施していない菌根菌を扱う実験も行うので培養系の設備を準備。
まずは長年放置されていたクリーンベンチを稼働させて、状態を確認しながら実験を開始。
受け入れ期間である約3年間、これまでと異なる実験も研究室で見れるので楽しみです!

実験と春に向けた準備

3月、まだまだ寒い日がありますが、徐々に春が近づいています。
しかし、本年度予定の実験がいくつか残っているのでまずはそれらを実施。

1つ目の実験。
食味関連の玄米成分であるタンパク質含量を測定。
玄米を粉砕し、タンパク質を抽出し、Lowry法で定量。

2つ目の実験。
次年度のマーカー選抜、育成した導入系統や戻し交雑系統の遺伝子型解析に使うために準備したDNAマーカーについて、サンプルを用いて確認。
PCR後に泳動し、バンドを撮影し、親系統や対象となる後代系統について遺伝子型を決定。

3つ目の実験。
現在実施している科研費研究で用意したデジタルマイクロスコープを使って稈内のデンプン蓄積の様子を撮影。
お借りしたプラントミクロトームを使って稈の切片を作成し、ヨウ素ヨウ化カリウム溶液でデンプン粒を染色。
これを繰り返して多数の画像データを得て、蓄積特性を確認します。

続いて、次年度に向けた準備。
まずは4月初めに行う播種の準備として、作成した研究計画に合わせて種子を袋に入れて、これと合わせてセルトレイを用意して粒状培土を詰めていきます。

最後に圃場の準備として春起し。
畦切りを手作業で行い、圃場内のゴミを回収。
トラクターで耕起して土壌に空気を入れ、有機物の分解を促進します。

なんとか本年度実施予定の実験と春に向けた準備が完了しました。
来月初めには播種、そのあとはマーカー選抜と施肥・代掻きと続きます。
いよいよイネの研究が始まりますね〜

2024年始動

2024年が始まりました。

1月と2月、まずは卒業論文発表。
本研究室では卒業論文をしっかり書いてから、発表に向けた準備を開始しています。
はじめに発表要旨を書き、デジタルアブストラクトを作成して学科へ提出。
最後にポスターを作成して、当日のフラッシュトークによる1分間の説明とポスター発表の準備を進めます。
今回は本研究室から2名が発表(湛水直播栽培に関する研究と倒伏抵抗性の研究)。
二人ともお疲れ様でした。

一方、研究室では本年度予定の実験を実施中。
まずは昨年の12月から始まった稈内のホロセルロース、α-セルロース、ヘミセルロース含量の測定。
これが終わると同じ構造性炭水化物であるリグニン含量測定を開始。
リグニン測定には多検体に向いている「チオグリコール酸リグニン法」を用いているのでセルロース類の測定よりは短期間で完了。

続いて、別の研究でサンプリングしたイネの葉身の窒素含量を測定。
こちらも多検体に向いている「改良デュマ法」を用いているので数日で完了。

本年度もあと1ヶ月くらいですが、まだ実施予定の実験が3つあります。
これらを早急に終わらせて、4月から始まる研究の準備をしなければなりません。
とりあえず、やるべきことを地道に進めましょう!


今年の終わりに

12月。
今年は色々忙しい年でしたが、まだまだやることが残っています。

まずは実験。
先月の非構造性炭水化物の測定に続き、今月からはホロセルロースなどの構造性炭水化物の測定を開始。
分解して、ろ過して、残ったものを乾燥して重さを測るという作業ですが、とても時間がかかる実験です。
今年もサンプル数が多いので、これから2ヶ月間地道に測定を続けていきます。

続いて、種子の整理。
9〜10月に採種した種子サンプルを必要な分量封筒に入れ、冷蔵庫で保管します。
年々、扱う系統数が増えているので種子を入れているケースがギリギリです。
ケースごとに収納した種子のリストを作成し、保管。
来年分を入れるスペースを検討しなくていけませんね・・・

今年の最後は恒例の大掃除。
居室、作業室、実験室と2日かけて丁寧に掃除。
ついでに機器にかぶせている古くなったカバーも更新しました。

あと、4年生の卒論作成も実施。
1名ほど予定通り年内に卒論が完成したので製本。
もう1人は来月も作成になりますので、頑張ってください。

秋起しと色々実験

11月。
徐々に気温も下がり、秋らしくなってきました。
この時期になるとお世話になった水田圃場ともしばらくお別れです。

本年、最後の圃場作業は秋起し。
圃場に残っている植物をすき込み、圃場の土に空気を入れておきます。
最後に今年も頑張ったトラクターを綺麗にして終了。

圃場作業が終わると次は実験室での作業。
まずは各試験区の収量特性を調査。
9月にサンプリングした穂の数、1穂粒数、登熟歩合、粒重を測定。
一部の試験では穂の構造や空籾の発生位置などの細かい解析も実施。
地道な作業ですが、作物学の基本的なところなのでしっかりと進めていきます。

一方で稈の炭水化物蓄積特性の解析も開始。
まずは構造性炭水化物。
粉砕したサンプルを20〜30mgずつチューブに入れ、抽出したサンプル溶液のデンプン、ショ糖、単糖類の含量を測定していきます。
今年もサンプル数が多いのでこちらも地道に進めていきます。

本年度予定の実験はまだまだあるので大変ですが、とにかく一つ一つ終わらせてデータをまとめていきましょう。

脱穀と調整

収穫したサンプルの収量調査と圃場のイネの採種を行う合間に、食味調査用のサンプルの脱穀と調整を実施。
継続して確認している系統に加え、今年は新たな実験系統も含まれているので種類が増加。
さらに、今年から基盤教育の講義で実施する食味試験のサンプルも含まれているので例年より作業量が増えています。

まずは穂から籾を外し、もみすり機で脱穀。
脱穀後のサンプルはふるいにかけて未熟米やゴミを除去。
そのあとは地味にピンセットで残った籾殻や被害粒などの除去を行い、綺麗な玄米を選別。
最後に、精米機にかけて、精白米を真空パックして保管。

とりあえずいつでも食味試験を実施できる様に準備が終わりました。
田圃が片付いたら、炊飯して官能試験、成分分析など行っていきます。

収穫時期なのに猛暑・・・

9月、収穫時期です。

この時期は圃場や実験室内での倒伏抵抗性試験や稈のサンプリング、そして収量・食味調査用の穂の収穫など、大忙し。
9月上旬より出穂が早い系統から順に試験やサンプリングを行い、約3週間これが続きます。

今年は9月になっても気温が下がらず、これらの作業を猛暑の中、実施。
熱中症で倒れないように対策をしていますが、長時間の圃場作業はかなり危険。
さらに雨が続いて予定がずれ、1日の作業量が倍増するなどなかなか難しい対応となりました。

なんとかこの忙しい時期を乗り越えたところで、ようやく秋らしい気温に・・・
あとは次年度に向けた採種と植物体や資材の撤去です。
秋起しまで1ヶ月あるので、少しずつ進めていきましょう。