投稿者「作物栽培学研究室」のアーカイブ

9月になりました

9月になり、コシヒカリ等の収穫まで3週間くらい。

この時期は台風発生が気になります。
大切なサンプルが台風に潰されてしまうと研究ができなくなることもあります。
そこで種取り用等の倒伏すると困るサンプルには倒伏防止の紐張りをしています。
今年植えたイネは出穂が1ヶ月くらい違うものがあるので、穂ばらみ期に入った系統から順に紐張りを実施。
そして本日、ようやく予定していた全ての系統に紐張りが終わりました。
これで台風の影響は避けれますが、より生産現場に近い条件で実験している試験区は倒伏防止策はとらないので台風や長雨に倒されないことを祈るしかありません。

実験室では強稈性の実験をしつつ、昨年収穫したコメの炊飯米物理試験を実施中。
収穫して10ヶ月経った古米で炊飯米の硬さや粘りにどのような変化が生じているか等、ここ数年地道にデータを取っています。
脱穀して未熟粒や被害粒等を取り除き、精米して炊飯したコメを1粒ずつ解析。
小規模で行っているので必要量の玄米サンプルを確保するだけでもかなりの手作業ですが、1粒ずつ50反復行う実験も大変です。

あと数週間でいよいよ収穫期。
実験室で行う実験以外に圃場で行う実験や採種と忙しくなります。
天候に恵まれることを期待して、しっかり準備していきましょう。

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出穂が始まりました

水田圃場のイネが出穂してきました。
この時期になると圃場サンプルを使った実験がいくつか始まります。

今年実施する強稈性の実験もその1つ。
猛暑の中、田んぼからサンプルを採取。
サンプルを壊さないように実験室へ持って行き、実験に使う葉身、葉鞘、稈に分ける。
あとは稈の物理特性の実験と成分分析用に必要部分を乾燥したり冷凍したり。
この実験を通して出穂期から収穫期までの物理強度の変化や成分含量の変化を調べます。

他にもこの時期から始まる実験があるので忙しくなります。
晴れの日が続くと実験は予定通り進められますが、暑いのは辛いですね。

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鳥害対策

毎年この時期になると防鳥網はりを行っています。
その一方で2010年から防鳥糸を使った対策法も実施しています。

一般的に研究圃場でよく見かけるのが防鳥網。
同時に多くのサンプルを守ることができるし、ほとんど鳥害を受けない。
特に収量形質が研究ターゲットの場合は頼りになります。
ただし、設置のためにはしっかりとした支柱と網がたるまない工夫が必要。
研究所のような施設の場合、網をはることが想定された作りになっています。
しかし、一般的な田圃では設置と撤去には労力がかなり必要となります。
あと欠点としては網の中に鳥が入ってしまった場合に追い出すのが面倒です。

防鳥糸を使った場合の問題点は多少の鳥害は覚悟すること。
ただ、5年間実際使ってみた感想としてはほとんど鳥害は受けていない。
大規模な研究では設置・撤去が大変であるが、中・小規模であればそれほど大変ではない。
あとメリットとしては、実験が終了した試験区から撤去できるので圃場の片付け作業を早くできること。

防鳥網か防鳥糸か、どちらを使うかは研究テーマ次第かもしれません。
そこで今年は研究内容から問題ないと判断し、すべて防鳥糸を使用することにしました。
今年は作業に関与する人数が1人なので労力の把握もしやすい。

作業内容と時間は以下の通り。
園芸用支柱の設置・・・280本設置で2時間
防鳥糸の設置・・・・・140本設置で3時間

例年だと防鳥網と防鳥糸を両方使っているので使用する支柱の数はかなり減りました。
網をはる作業時間や撤去のことも考えるとかなりの省力化になりそうです。
作業人数が多ければ時間もかなり短縮できます。
さらにコストも500mの防鳥糸が500円もかからないので安い。
今年の様子を見て今後の鳥害対策を検討しましょう。

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梅雨の合間にサンプリング

田植えから3週間経ち、順調に分げつも増えてきました。

この時期は梅雨なので、合間の晴れを利用して研究を進めています。
本日は、DNAマーカー利用選抜で得られたサンプルの遺伝子型チェックのためにDNA抽出しました。
朝から田んぼに入り、サンプル番号を確認しながら葉の一部をチューブに移す作業。
カエルの鳴き声をBGMに130個体をサンプリング。
その後、実験室に持ち帰りDNAを抽出して冷凍保存。
後は時間が空いた時に各DNAマーカーの遺伝子型を確認します。

さて、実験室では夏から始まる実験に向けて色々と準備中。
昨年と同様に田植え終わりのこの時期に新しいメンバーを加えました。
導入したのは紫外可視分光光度計。
6連セルチェンジャーと1滴測定ユニットを付けています。
これまで1サンプルずつコツコツ測って記録していた作業の効率化と0.6μL以上の極少量サンプルまで測定できる汎用性を兼ね備えた仕様です。
とりあえず導入記念に検量線を作成して定量測定のデモしてみました。

本研究室も7年目でようやく最低限のインフラが整った感じですかね。

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田植え完了

今年も無事田植えが完了しました。

4月末にDNA抽出を行い、選抜系統の遺伝子型解析を実施。
今年のテーマはスピードアップです。
バイオサイエンス教育センターのMM400を使って192サンプル同時破砕。
サーマルサイクラーも2台使用。
電気泳動も192サンプル対応。
以前よりも設備が整ったため、効率良く解析できる様になりました。

5月後半から田植え開始。
今年は8つの実験を実施するため、72系統、2700個体を移植。
さらに空きスペース用に1600個体移植。
スケジュールの関係上、今年の移植は1人で実施。
4日間で約21時間ひたすら田植え。
大変でしたが、ミスなく計画通り移植できました。

あとは除草、農薬散布、鳥害対策をして、実験が始まる夏を待ちましょう。

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今年の代かき

水が溜まりにくい水田圃場の代かきを今年も実施。
昨年の作業時間18時間を短縮できるのか、今年のテーマです。

代かき1回目
入水から3日後に田圃の水の広がりを確認し、まずは半分だけ縦方向に水を広げ、2時間放置。
次に横方向に水を広げて1回目終了。約40%水が溜まる。
作業時間4時間。

代かき2回目
70%程度溜まることを目標に、横、縦、横方向の順で水を広げる。
作業時間5時間。

代かき3回目
90%程度溜まることを目標に横方向に水を広げ、縦方向に荒代をする。
作業時間6.5時間。

代かき4回目
水が十分に溜まっていない部分を代かきし、横方向に植代をする。
作業時間1.5時間。

4日かけて計17時間。
昨年よりは1時間短縮されました。
さらに、トラクター作業中に一旦止めて、水が広がるのを待つ時間をとったのでトラクターでの作業時間も少し短縮。

昨年より省力化できた要因としては、少しずつ水が溜まりやすくなってきていることが考えられます。
さて、来週はいよいよ田植えです。

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論文が受理されました

本研究室で行った倒伏抵抗性に関する研究の論文「Functional analysis of the lodging resistance QTL BSUC11 on morphological and chemical characteristics in upper culms of rice」が植物育種の国際誌「Euphytica」に受理されました。

内容は、前報で発見した上位部稈の挫折抵抗に関与するBSUC11がどのような機能を通して登熟期以降に生じる物理強度劣化を抑制しているのか、その主要因について述べています。(図を参照)

研究は科研費(15K18632)の助成を受けて行ったものです。既にオンラインで公開されています(DOI 10.1007/s10681-016-1707-1)ので興味のある方は読んで頂ければ幸いです。

bsuc112図1

今年の播種

春になり、研究が始まりました。

今年実施する実験について実験規模や圃場設計を計画し、必要なサンプルを準備。
今回は実験用サンプルとしてセルトレイへ4230粒の播種、それと空きスペース用に苗箱6枚分の播種。
実験用サンプルはセルトレイの穴に1粒ずつ丁寧に播種するので大変です。
異なるサンプルが入ってしまうと研究が実施できなくなります。

ガラス室内の温度が不安定なため、数年前から出芽するまでビニールを掛けて加温+保温。
そしてDNAマーカー選抜用のサンプルの出芽にはグロスチャンバーを利用。

さて、今年は予定通りに出芽してくれるでしょうか?
無事に苗が育てば次はDNAマーカー選抜です。

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春です

春になりました。
ポカポカ陽気の影響か、畑の二条オオムギが出穂を始めました。
例年より早い出穂なので学生実験のサンプルとして使えるか心配です。

さて、春になりましたので恒例の春起こし。

まずは畦切りをし、崩れた畦の修理や穴を塞ぎます。
少しずつショベルで畦を切り、土を盛ったり、穴を埋めたり。
約1時間の作業で終了。

次に30分間ほどかけて圃場内のゴミと石拾い。
麻ひも、段ボール、紙ゴミ、プラスチックゴミ・・・色々落ちてます。
そして何年も続けてるのですが、まだ拳くらいの石が出てきます。

最後にトラクターで春起こし。

今年も色々ありそうですが、田圃の維持管理頑張りましょう。

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学会発表

春の学会シーズン。
今年は日本作物学会第241回講演会でポスター発表するため茨城大学水戸キャンパスへ行ってきました。

発表タイトルは「イネにおける上位部稈物理強度劣化を抑制する量的形質遺伝子座bsuc11の機能解析」。
以前論文発表した倒伏抵抗性に関与するQTL「bsuc11」について、このQTLがコシヒカリで登熟期以降に生じる稈の物理強度劣化を抑える主要因は何か?という内容の研究です。

40分間の発表時間でイネの倒伏についての議論やbsuc11の機能についての議論をし、有意義な時間となりました。
本研究に興味を持って頂いた方々に感謝申し上げます。

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