投稿者「作物栽培学研究室」のアーカイブ

4月の予定を順調に進行中

播種から10日。
グロスチャンバー内の苗がDNA抽出できる大きさになりました。
今年は1152個体のDNA抽出。
苗から1個体ずつ間違えないように葉をサンプリング。
今回抽出したDNAを使って来週からいよいよマーカー利用選抜が始まります。

ガラス室の苗も順調に育っています。
暑すぎる日もあるので温度調整しつつ、5月後半の田植えまで大事に育苗。

一方で、田んぼの準備も始まりました。
施肥し、浅耕して入水開始。
こちらも来週から代かきが始まります。
水が溜まりにくい田んぼですので、これから大変です。

学生実験用のムギは高めの気温のおかげでいつも以上に元気に生育しています。
とりあえず、倒伏防止と鳥害防止、そして殺虫剤散布を実施。
若干、過繁茂気味で出穂も早い今年のムギ。
授業予定日まで使える状態であればいいのですが・・・

これから1ヶ月でDNAマーカー利用選抜、代かき、そして田植え。
忙しいシーズンがやってきましたね。

     

種まき完了

4月に入り、今年の研究がスタート。

例年通り、まずは播種です。
種子を消毒し、3日ほど浸種。
催芽した種子をセルトレイに1粒ずつ播種。
今年は昨年よりも多い4612粒。

マーカー利用選抜用のセルトレイはグロスチャンバーで育成。
他のセルトレイはガラス室でシルバーポリを被せて出芽を待ちます。
さらに、田んぼの空きスペースなどに使用するイネ用に苗箱で6枚分播種しました。

記録を確認すると、今年はこれまでで最大量の播種になりました。
今年の4月は暖かい日が多い感じなので問題なく育苗できるでしょう。

  

準備中

3月に入り、春が近づいてきました。
まだまだ寒い日もありますが、今年のイネ研究のための準備開始です。

まずは計画。
昨年の結果などを確認し、実施する実験を考える。
現在継続中の研究課題で必要な規模などを見積もります。
あと種子の更新が必要な材料がないかもチェック。
圃場での実験場所や配置をある程度決めておきます。

次に播種の準備。
圃場に移植するイネの種子を必要量パッキング。
育苗に使うセルトレイや苗箱に播種する系統名などを記入。
播種時の作業効率のため、セルトレには育苗用培土を入れておく。

圃場の準備。
昨年秋起こし後、放置している圃場。
ゴミ拾いなどをしながら圃場の状態を確認。
スコップで地道に畦切りを行い、畦を修復。
高低差がひどい箇所は土を移動させ、なるべく均平にする。
最後にトラクターで春起こしして、分解されていない稲わらもすき込む。

とりあえず、予定している準備は完了。
4月に入るとすぐに播種時期がやってきますので、それまでに再度計画を確認しておきます。

あと、今年の学生実験用ムギの状態は良好。
昨年は半分程度しか生存していなかったので一安心。
害虫などをチェックしながら大事に育てましょう。

     

燃焼式(改良デュマ法)窒素/タンパク分析装置の立ち上げ

卒論発表会や予定していた実験が無事に終り、やっと一息つけます。
ただ、来年度の研究は3月から始まるのでそれまでにやり残していることをやらないといけません。

その一つが昨年11月に導入した窒素/タンパク分析装置の立ち上げ。
一度デモを見て説明書を読んでいたので使用のイメージはできているのですが、やはり実際に装置を動かしてみないと細かいところまで把握できません。

まずは標準物質を測定して使用法や精度を確認。
そして実際にサンプルを測定。
今回は玄米と葉を試し、サンプル量、測定誤差、分析時間など色々検証。

本装置では、均一になるように粉砕したサンプルをスズ箔に包み、燃焼して得られた窒素ガスをTCD検出器で測定します。
スズ箔で包んだサンプルをオートサンプラーにセットして、あとは制御ソフトウェア上でサンプル情報や測定条件を入力して多検体を自動で分析。
メンテナンスなどの維持管理をしっかりやっていれば、非常に簡便で精度の高い実験機器です。

1週間かけて色々試行し、得た情報をまとめてマニュアルを作成して完了。
あとは実際に研究活動に有効利用していくだけですね。

     

大雪と寒波

2018年最初の月。
センター試験が終わりホッとしていると、大雪と寒波が登場。
積雪の後のとてつもない寒さで畑のムギ達が可哀想ですが、なんとか無事に春を迎えて欲しい。

一方で、寒い中実験室にこもって予定の実験を実施中。
まず、米タンパクの組成をSDSPAGEで確認。
次に古風な実験方法でゲルコンシステンシーを分析して米の理化学特性を分析。
そして、次年度に向けて本年度採種した植物体の遺伝子型解析。
本年度予定の実験もあともう少しで完了です。

あと学生さんは2月の卒論発表の準備。
本研究室では、基本的に論文を書き終えてしっかりと自分の研究に向き合ってから発表することにしています。
本年度も12月に論文を書き終えたので、1月は要旨、フラッシュトーク用のスライド、ポスターの作成。
研究発表は「研究背景」、「仮説・目的」、「方法」、「結果・考察」を明確にすることが重要。
発表内容を確認し、なるべく見やすくてわかりやすくなるようにスライドやポスターをデザインします。

さて、発表の準備も終わったのであとはしっかりと説明の練習をするだけです。
こちらもあと少し頑張りましょう。

     

12月

毎年やるべきことが多い12月。
採取して保管していたサンプルの成分分析。
ここまで得たデータの整理と確認。
収穫した種子の整理。
あと、学生は卒論作成と製本。
そして最後は大掃除。

サンプルの成分分析は、まず玄米と稈を粉砕。
玄米サンプルから目的成分を抽出して分光光度計で測定。
稈はとりあえず年内は構造性の炭水化物を分析。
今年度のノルマはまだまだあるので、年明けにまた色々実験していきます。

今年の種子整理は75系統。
来年以降の実験に必要な大事な種子なので確認しながら慎重に実施。

4年生の卒論は11月初めに実験が終了したので、1ヶ月半かけての作成。
データ整理後の図表作成から始まり、方法、結果、考察、緒言の順でひたすら執筆。
無事に年内中に完成し、年が明けたら発表会の準備です。

そして今年の最後は大掃除。
今年もお世話になった実験室や作業室を隅々まで掃除して、いつも以上にキレイにしました。

2017年もあと数日となりました。
来年もコツコツと地道に頑張りましょう。

        

燃焼式 窒素/タンパク分析装置

12月が近づき、今年もあと1ヶ月となりました。
11月のはじめに播種したムギ達も順調に育ち、もう少ししたら越冬モードになります。

さて、ここからが本題。
「地域科学技術実証拠点整備事業:先進的ロボット技術による地域潜在力イノベーション推進拠点」に関連して、農作物の生育・品質をチェックするための窒素分析装置(VELP社製 NDA702)が3号棟に導入されました。
本分析装置は食品や飼料のタンパク質分析法として認められている「改良デュマ法」に基づいた窒素測定を行う機器になります。
これまでよく使われている「ケルダール法」と比べると、測定時間が短いことや危険試薬を使用しないことが利点です。

本装置を担当しているので早速サンプルを使った試運転を行いたいところですが、他の実験等があるのでとりあえず納入していただいたACTACの方から使用法の説明を受けたところで今年は終了。
年明けしたらすぐに試運転を始めたいですね。

  

圃場作業終了

11月に入って最後の圃場試験を実施。
これでようやく圃場で行う実験が完了しました。

実験が終わったので後片付けをして、秋起しです。
まずは支柱や防鳥糸などの資材を撤去し、全ての稲を刈り取ります。
そして秋起しの前に恒例の紐拾い・・・
圃場を何度も往復して紐を回収していると丈夫なバインダーの紐がこんなにも・・・
共同利用の圃場を管理しているので仕方ないのですが、呆れますね、この量。

今年は有機物の分解が十分ではなかった様なので新しい試みを追加。
有機物の分解を促進するため、バイオフミンを散布。
微生物の力を借りてどの程度効果が出るか、春まで待ちます。

最後にトラクターで今年最後の耕起。
作業終了後、洗車してると拾いきれていないバインダーの紐が4本ロータリー部と絡んでいてしばし格闘。

あと、来年の学生実験で使う麦類の播種も忘れずに実施。
今年は11月に雪が降ることがなければいいのですが・・・

ようやく全ての圃場作業が終わりました。
今年もお世話になったトラクターと圃場に感謝です。

     

収穫サンプルの解析

収穫した稲穂が十分乾燥してきたので収量と食味の試験開始。

まずは収量。
穂数、1穂籾数、登熟歩合、千粒重と収量構成要素を測定していきます。
今年は3つの試験区で収量調査しますが、天候があまり良くなかったので昨年よりも収量減となる見込み。

続いて食味試験。
実際食べて評価する官能試験ではなく、今年も炊飯米の物理的特性を解析。
今年は籾すりの時間短縮を行うため、インペラもみすり機を導入。
試験で使用する1〜2合程度はあっという間に脱穀終了。
あとは丁寧に未熟米などを取り除いて、整粒だけを精米。
物理試験は昨年と同様にアルミカップ内でお米を炊いて、1粒ずつ硬さ、粘り、付着性を解析。

さて今年の収量と品質はどうか、結果を待ちましょう。

      

 

 

 

 

 

 

 

収穫シーズン

9月後半から10月末まで、本圃場は収穫シーズン。
出穂から6週間過ぎると、実験系統は収量解析や採種のためのサンプリング、圃場での倒伏試験、稈の物理強度測定などが実施されます。

収量解析や採種用に、1個体ずつ圃場の稲穂を紙袋へ移して風乾。
今年も大量の穂が収穫され、実験室が日々狭くなります。
2週間ほど乾燥させたら収量構成要素の解析や種の整理が始まります。

倒伏の研究では、圃場で押し倒し抵抗を測定したり、植物体を実験室へ移して稈の形態や物理強度などを解析。
稈の物理強度は老化とともに変化しますので、解析できる時期が限られていることが難しいところ。
簡易的な試験法や材料試験機を使って必要なデータを地道にとっていきます。
あとは成分分析用にサンプリングした稈を乾燥させ、後ほど分析。

さて、今年集めた大量のデータからどのような研究結果が得られるのか、楽しみですね。