投稿者「作物栽培学研究室」のアーカイブ

燃焼式(改良デュマ法)窒素/タンパク分析装置の立ち上げ

卒論発表会や予定していた実験が無事に終り、やっと一息つけます。
ただ、来年度の研究は3月から始まるのでそれまでにやり残していることをやらないといけません。

その一つが昨年11月に導入した窒素/タンパク分析装置の立ち上げ。
一度デモを見て説明書を読んでいたので使用のイメージはできているのですが、やはり実際に装置を動かしてみないと細かいところまで把握できません。

まずは標準物質を測定して使用法や精度を確認。
そして実際にサンプルを測定。
今回は玄米と葉を試し、サンプル量、測定誤差、分析時間など色々検証。

本装置では、均一になるように粉砕したサンプルをスズ箔に包み、燃焼して得られた窒素ガスをTCD検出器で測定します。
スズ箔で包んだサンプルをオートサンプラーにセットして、あとは制御ソフトウェア上でサンプル情報や測定条件を入力して多検体を自動で分析。
メンテナンスなどの維持管理をしっかりやっていれば、非常に簡便で精度の高い実験機器です。

1週間かけて色々試行し、得た情報をまとめてマニュアルを作成して完了。
あとは実際に研究活動に有効利用していくだけですね。

     

大雪と寒波

2018年最初の月。
センター試験が終わりホッとしていると、大雪と寒波が登場。
積雪の後のとてつもない寒さで畑のムギ達が可哀想ですが、なんとか無事に春を迎えて欲しい。

一方で、寒い中実験室にこもって予定の実験を実施中。
まず、米タンパクの組成をSDSPAGEで確認。
次に古風な実験方法でゲルコンシステンシーを分析して米の理化学特性を分析。
そして、次年度に向けて本年度採種した植物体の遺伝子型解析。
本年度予定の実験もあともう少しで完了です。

あと学生さんは2月の卒論発表の準備。
本研究室では、基本的に論文を書き終えてしっかりと自分の研究に向き合ってから発表することにしています。
本年度も12月に論文を書き終えたので、1月は要旨、フラッシュトーク用のスライド、ポスターの作成。
研究発表は「研究背景」、「仮説・目的」、「方法」、「結果・考察」を明確にすることが重要。
発表内容を確認し、なるべく見やすくてわかりやすくなるようにスライドやポスターをデザインします。

さて、発表の準備も終わったのであとはしっかりと説明の練習をするだけです。
こちらもあと少し頑張りましょう。

     

12月

毎年やるべきことが多い12月。
採取して保管していたサンプルの成分分析。
ここまで得たデータの整理と確認。
収穫した種子の整理。
あと、学生は卒論作成と製本。
そして最後は大掃除。

サンプルの成分分析は、まず玄米と稈を粉砕。
玄米サンプルから目的成分を抽出して分光光度計で測定。
稈はとりあえず年内は構造性の炭水化物を分析。
今年度のノルマはまだまだあるので、年明けにまた色々実験していきます。

今年の種子整理は75系統。
来年以降の実験に必要な大事な種子なので確認しながら慎重に実施。

4年生の卒論は11月初めに実験が終了したので、1ヶ月半かけての作成。
データ整理後の図表作成から始まり、方法、結果、考察、緒言の順でひたすら執筆。
無事に年内中に完成し、年が明けたら発表会の準備です。

そして今年の最後は大掃除。
今年もお世話になった実験室や作業室を隅々まで掃除して、いつも以上にキレイにしました。

2017年もあと数日となりました。
来年もコツコツと地道に頑張りましょう。

        

燃焼式 窒素/タンパク分析装置

12月が近づき、今年もあと1ヶ月となりました。
11月のはじめに播種したムギ達も順調に育ち、もう少ししたら越冬モードになります。

さて、ここからが本題。
「地域科学技術実証拠点整備事業:先進的ロボット技術による地域潜在力イノベーション推進拠点」に関連して、農作物の生育・品質をチェックするための窒素分析装置(VELP社製 NDA702)が3号棟に導入されました。
本分析装置は食品や飼料のタンパク質分析法として認められている「改良デュマ法」に基づいた窒素測定を行う機器になります。
これまでよく使われている「ケルダール法」と比べると、測定時間が短いことや危険試薬を使用しないことが利点です。

本装置を担当しているので早速サンプルを使った試運転を行いたいところですが、他の実験等があるのでとりあえず納入していただいたACTACの方から使用法の説明を受けたところで今年は終了。
年明けしたらすぐに試運転を始めたいですね。

  

圃場作業終了

11月に入って最後の圃場試験を実施。
これでようやく圃場で行う実験が完了しました。

実験が終わったので後片付けをして、秋起しです。
まずは支柱や防鳥糸などの資材を撤去し、全ての稲を刈り取ります。
そして秋起しの前に恒例の紐拾い・・・
圃場を何度も往復して紐を回収していると丈夫なバインダーの紐がこんなにも・・・
共同利用の圃場を管理しているので仕方ないのですが、呆れますね、この量。

今年は有機物の分解が十分ではなかった様なので新しい試みを追加。
有機物の分解を促進するため、バイオフミンを散布。
微生物の力を借りてどの程度効果が出るか、春まで待ちます。

最後にトラクターで今年最後の耕起。
作業終了後、洗車してると拾いきれていないバインダーの紐が4本ロータリー部と絡んでいてしばし格闘。

あと、来年の学生実験で使う麦類の播種も忘れずに実施。
今年は11月に雪が降ることがなければいいのですが・・・

ようやく全ての圃場作業が終わりました。
今年もお世話になったトラクターと圃場に感謝です。

     

収穫サンプルの解析

収穫した稲穂が十分乾燥してきたので収量と食味の試験開始。

まずは収量。
穂数、1穂籾数、登熟歩合、千粒重と収量構成要素を測定していきます。
今年は3つの試験区で収量調査しますが、天候があまり良くなかったので昨年よりも収量減となる見込み。

続いて食味試験。
実際食べて評価する官能試験ではなく、今年も炊飯米の物理的特性を解析。
今年は籾すりの時間短縮を行うため、インペラもみすり機を導入。
試験で使用する1〜2合程度はあっという間に脱穀終了。
あとは丁寧に未熟米などを取り除いて、整粒だけを精米。
物理試験は昨年と同様にアルミカップ内でお米を炊いて、1粒ずつ硬さ、粘り、付着性を解析。

さて今年の収量と品質はどうか、結果を待ちましょう。

      

 

 

 

 

 

 

 

収穫シーズン

9月後半から10月末まで、本圃場は収穫シーズン。
出穂から6週間過ぎると、実験系統は収量解析や採種のためのサンプリング、圃場での倒伏試験、稈の物理強度測定などが実施されます。

収量解析や採種用に、1個体ずつ圃場の稲穂を紙袋へ移して風乾。
今年も大量の穂が収穫され、実験室が日々狭くなります。
2週間ほど乾燥させたら収量構成要素の解析や種の整理が始まります。

倒伏の研究では、圃場で押し倒し抵抗を測定したり、植物体を実験室へ移して稈の形態や物理強度などを解析。
稈の物理強度は老化とともに変化しますので、解析できる時期が限られていることが難しいところ。
簡易的な試験法や材料試験機を使って必要なデータを地道にとっていきます。
あとは成分分析用にサンプリングした稈を乾燥させ、後ほど分析。

さて、今年集めた大量のデータからどのような研究結果が得られるのか、楽しみですね。

     

今年の出穂

8月が始まり、イネの出穂時期になりました。
今年は例年より1週間早い出穂です。

出穂が始まっている系統から順に倒伏防止の紐張りと防鳥糸を設置。
この作業を155カ所で実施予定。
天気が良いと暑いし、出穂すると花粉が飛ぶので、午前10時頃までに終えます。
外作業はダラダラせず、効率よくテキパキやるのが大事です。
あとは落水時期まで除草作業を数回行っていきます。

予想より早い出穂ということで、計画していたすべてのスケジュールが前倒しとなりました。
計画通りに研究を進めるため、スケジュールを再調整中です。
とりあえず、天候に邪魔されなければ大丈夫でしょう。

  

支柱立て

暑い日が続く中、田圃に支柱を立てる肉体労働を実施。
毎年行っている作業ですが、これがなかなか大変な作業です。

今年の支柱数は昨年よりも多い、308本。
田圃まで多量の支柱を運び、計画に従い立てていきます。
一本一本、支柱がぐらつかない深さまで刺していくので、気づいたら手にまめができています。
大変な作業ですが、この支柱を使って倒伏防止用の紐張りや防鳥糸の設置を行うので大事な作業です。

朝から2時間かけて全ての支柱を設置しました。
次は出穂時期に合わせて倒伏防止用の紐張りや防鳥糸の設置を行っていきます。

  

遺伝子型確認中

6月も後半になり、少しずつイネの分げつが増えてきました。
この時期は毎年、実験材料に間違いが無いか、圃場に移植した選抜イネの遺伝子型を確認するために遺伝子型解析を行っています。

圃場のイネの葉をチューブへ移し、実験室に戻ってDNA抽出。
あとは確認予定のDNAマーカーについて、目的通りの遺伝子型かどうかPCR〜電気泳動で解析していきます。
この結果に従って、今年実験をするサンプルや次年度用の採種個体を確定するので大事な確認作業です。

解析は2週間ほど続きますが、今年も問題なく進めたいですね。