今年植えたイネの中に出穂が始まっている系統がちらほら見られる様になりました。
そこで毎年恒例の鳥よけのための網はり作業です。
まずは支柱を立てる。
次に支柱の間に紐を張る。ついでに出穂が始まりそうな系統は倒伏防止用の紐も張る。
最後に網を張って、支柱に紐で固定して完成。
気温30℃の中の作業は過酷ですが、実験サンプルを守るために必要です。
今年も無事に網が張れました。
あとはメンバーの本実験を実施するだけですね。
とりあえず、上原君網はりお疲れ様です!
DNAマーカー利用選抜後に移植したイネが田圃で元気に育っています。
選んだ苗が間違いないか、表現型解析の前に再度DNAマーカーで確認しなくてはいけません。
DNA抽出は葉が硬くなる前に行いたいので、本日サンプリング。
曇っているから朝の涼しいうちにと思いましたが、サンプリングを始めると日が照ってきました。
そんな中、地道に各個体から葉を採取してチューブに入れる作業。
今回は約100個体のサンプリング。
1時間以内でミスなく無事に終了。
すぐにラボに持ち帰ってDNA抽出。
あとはDNAマーカーチェックして移植個体の遺伝型確認です。
すぐに確認したいところですが、いろいろ忙しいので後日行うことにします。
まだ5月なのに日中は夏の様なこの1週間。
そんな暑い中、予定通り育成した苗を田植えしました。
今年は試験区が6ヶ所あり、約2000個体の移植。
試験区は条間と株間を正確に植えるのでそれなりの技術が必要です。
さらに今年研究に使うイネは約100系統。
それぞれ遺伝子型が異なる系統なので移植の際に間違いが許されません。
あと空きスペース用に約2000株の移植。
昨年は田植えをしなかった空きスペースに雑草が大発生し、草取りが大変でした。
今年はなるべく空きスペースを減らして雑草対策することにしました。
今年は約4000株の移植になりました。
機械移植ではなく、すべて手植えですから、経験の浅い人にはかなり大変な作業です。
でも田植えが終わればイネ研究の下準備完了です。
とりあえず、一段落。
これから移植したイネを実験まで大事に管理して行きましょう。
田圃の管理を引き継いで4年目。
ようやく本来の田圃に近づいてきました。
引き継ぐ前の田圃は、畦と田圃の境が分からない、田圃内に高低差がある、異常に深い、水が溜まりにくく抜けにくい等、農家さんが使っている田圃ではあり得ない状態。
4年前引き継いだ時から5年計画で補修作業を開始。
農業土木は専門ではないし、田圃を作ったことも無いので必死に情報収集し、経験者の意見や技術が必要なので農家出身の学生さんに協力を依頼。(2人の学生に感謝です!)
下に示した写真は入水後の状況ですが、明らかな変化が見えてきました。
左は2011年の田圃で入水1週間後の様子。
入水口付近は水が溜まるが広がらず、1ヶ月入れ続けても変化無し。
その後トラクターで水を広げる作業をしつつ、状況把握のため様々な情報収集。
なんとなく田圃の状況が見えてきたのがこの年。
真ん中の写真は2012年の圃場で入水2日後の様子。
水の広がりは鈍いが、前年より水が溜まりやすくなる。
落水後の水の抜けが少し改善される。
右の写真は今年の圃場で入水1日後の様子。
水の広がりに変化が見られる。
2011年から均一に浅耕し、2012年から畦を作り直し、2013年から高低差を補正。
その間地道に圃場内の石とゴミを撤去。
田圃の構造(硬盤と畦)を意識して行ってきたことが結果として現れる様になってきました。
今後も継続し、田圃の機能回復へ努力しましょう。
本研究室で行った倒伏抵抗性に関する研究の論文「Identification of quantitative trait loci for resistance to bending-type lodging in rice (Oryza sativa L.)」が植物育種の国際誌「Euphytica」に受理されました。
内容は、イネの湾曲型倒伏に対する抵抗性向上を目的とし、上位稈の挫折抵抗に関与する量的形質遺伝子座(QTL)を解析した結果、第11染色体上に上位3節間の挫折抵抗を同時に強化する「bsuc11」を発見したこと、さらにこのQTLによる物理特性は出穂から2週目以降に生じる上位部稈の物理強度低下を抑制することが述べられています。(図を参照)
研究は科研費(23780014)の助成を受けて行ったものです。2013年の9月に論文を投稿して今年の3月にようやく受理されましたが、まだ公開はされてません。興味がある方はもうしばらくお待ちください。
いよいよ、本年度最後の実験が始まりました。
コメの食味を評価するには実際に食べる官能試験がありますが、こちらでは物理試験によって硬さや粘りを評価する方法を使っています。
「味」というよりは「食感」の評価になります。
炊飯米の物理試験はコメを圧縮して潰し、次に潰れた状態から引っ張る過程のなか生じる「力」を数値化します。
最適な機械を使えば物理試験中にコメに生じる「力」を波形で確認することができますが、現在使用している機器ではできないので、正しい評価のために少し頭を使って計算する必要があります。
評価には十分なサンプル数について一粒一粒地道に測定しますので根気が必要です。
さてどのような結果が出るか、楽しみです。