10月になりました。
この時期は圃場の作業とラボでの作業・実験と多忙です。
まずは圃場。
サンプリングや採種が終わったイネから順に刈り取って撤去。
今月より配属された2人にも圃場作業を少し体験してもらいます。
ついでに来年に向けて研究圃場について色々と説明。
圃場の使い方、試験区設定、イネの植え方など、圃場で学ぶことはたくさんあります。
一方、実験室。
まずは9月にサンプリングした穂を使って収量調査。
今年は4つの試験区を実施。
地味な作業ですが、大事な作業です。
これと同時に稈の炭水化物含量分析もスタート。
第一段階としてまずはソックスレー抽出です。
設備的に1日2サンプルずつしかできないので、コツコツ進めるしかありません。
収量調査が終わると次は食味試験。
炊飯米の物理特性を解析するために、脱穀〜精米を行います。
脱穀した玄米から未熟米やゴミを取り除き、整粒を確保。
精米後、いよいよ食味試験。
炊飯後、30°Cまで冷まし、一粒ずつ硬さ・粘り・付着性を測定していきます。
さて、今年の収量と食味はどうなのか?
データがまとまるまで待ち遠しいですね。
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収穫期
真夏の圃場作業と実験
8月になり、イネが次々出穂してきました。
出穂と同時に圃場作業と実験も忙しくなってきます。
まずは圃場作業。
出穂後に倒伏すると登熟に問題が生じるため、倒伏防止の紐張りが必要。
猛暑且つ花粉が舞う環境ですが、大事なサンプルを守るため作業を進めます。
今年は136ヶ所に紐張りを実施。
続いて、この時期にどんどん出てくる雑草対応。
水田圃場内の雑草は表層を掻いて取り除き、畦は刈り払い機で。
イネ生育の邪魔になる雑草なので毎週コツコツ作業していきます。
研究では出穂と同時に実験が次々始まります。
稈のサンプリングと物理強度の測定、SPAD計による葉身のクロロフィル含量測定、草丈や分げつ数の測定など、計画に従い進めていきます。
来月になればいよいよ収穫。
収穫の準備もそろそろしなくてはいけませんね。
冷夏? やっぱり猛暑
7月になり、夏到来となるはずが、気温上がらず。
さらに日照不足もあり、イネが心配です。
一方で涼しさのせいか7月の圃場作業はいつもより楽でした。
今年の支柱立ては278本。
そのあとはいつも通りの防鳥糸張り。
手のマメが潰れる作業ですが、無事に2日で終了。
気温などから今年の出穂は遅れるかな?と思っていたら、いつもよりも早く出穂開始の様子。
それと同時に猛暑復活。
急にイネの生育が慌ただしくなってきました。
今年は5年ぶりに交配を実施するため、急いで準備。
田んぼから母体となるイネを鉢上げし、出穂のタイミングを確認。
朝9時までに温湯除雄して花が咲かない小穂を切除。
ドナー親の穂を取ってきて、花が咲いたら母体に受粉。
終わったら袋をかけて、ガラス室で育成。
暑い中2日間かけて行った交配ですが、なんとか終了しました。
無事に種ができるを期待して9月まで待ちましょう。
遺伝子型確認
MAS〜代掻き〜田植え
今年も多忙な時期がやってきました。
まずはDNAマーカー利用選抜。
960個体について、8日間かけて遺伝子型を確認して選抜。
今年は機械トラブルなどが起きず、予定通りに進みました。
選抜作業と並行して代掻き。
選抜作業は順調でしたが、代掻きは・・・
作業1日目、3時間。
作業2日目、5時間。
作業3日目、6.5時間。
作業4日目、2.5時間。
作業5日目、6.5時間。
合計23.5時間。
昨年の16時間を大幅に超える作業時間。
これはかなり問題ですね・・・
最後に田植え。
今年は7.5m×42mの区画内に8つの試験と種の更新に対して69系統、2773個体。そして空きスペースに1351個体を移植。
4日間で約22時間の田植え作業となりましたが、無事に完了。
この後は様子見ながら除草作業や殺虫剤散布などの管理です。
「播種〜DNA抽出」と「施肥〜入水」
4月になり暖かくなったきたと思ったら突然の雪。
不安定な春ですが、田植えに向けて準備です。
まずは苗の準備。
3月に立てた計画に従い、用意した種を消毒・浸種。
催芽種子をセルトレイに1粒ずつ、計4132粒を播種し、あと苗箱6枚分も播種。
今年もDNA抽出してマーカー選抜するものはグロスチャンバー、その他はガラス室で出芽〜育苗。
グロスチャンバーで育てたものは10日ほどで十分大きくなるので、960個体のDNA抽出用にサンプリングした後はガラス室へ移動。
ガラス室も2週間ほどで全て出芽したので後は田植え予定の5月下旬まで育苗。
一方、圃場。
施肥量を一定に保つために区画を決め、合計100kgほど肥料を圃場に撒きます。
トラクターで耕して入水開始。
後は毎年悩む代掻きです。
これから田植えまで忙しい時期が続きますね。
3月のお仕事
3月になり、徐々にですが暖かくなってきました。
3月は4月から始まるイネ研究の準備時期です。
まずは播種の準備。
2月から考えてきた今年の研究計画に従い、種を選び、必要数をパッキング。
続いて種を撒くセルトレイや苗箱の準備。
系統名などを記入して、粒状培土を8割程度入れておきます。
次に圃場の準備。
最初に畦切りを行い、圃場と畦の境界線をキレイにします。
この時に崩れた畦の修復、圃場内高低差の修正も行います。
スコップ使って約2時間半、ひたすら肉体労働してようやく終了。
あとは春起こし。
圃場内のゴミ拾いをして、久々のトラクター乗車。
トラクターの調子も確認しながら、全面を耕起。
あと3月の最後は学会発表。
今回の発表タイトルは「コメのタンパク質含量に関与する遺伝子座TGP12の機能と食味関連形質への影響」。
昨年発表した論文についての内容で、コメの品質で重要なタンパク含量を遺伝的手法で減少した場合に食味にどのような影響を与えたかをポスター発表で報告しました。
今回は共同著者に発表をお願いしましたので直接対応はしていませんが、発表時に質問して頂いた方々に感謝申し上げます。
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実験終了
本年度もあと2ヶ月。
予定している残りの実験を実施し、次年度の計画、準備をしなくてはいけません。
まずは遺伝子型の解析。
春のマーカー選抜・田植えに向けて、遺伝子型の確認や新しいマーカーの試験。
今回得られた結果を次年度の計画に役立てます。
最後は窒素分析。
改良デュマ法の機器を用いてコメや葉の窒素含量を測定。
この機器は導入されて1年ほどしか経っていないので、まだまだ経験不足。
測定が半分終わったあたりからベースラインが不安定、実測値の異常が発生しました。
何が原因か一つ一つ確認・修正して、現象と対処法を記録。
無事すべての測定が終了し、ついでに実験機器について知識と経験得ました。
不慣れな機器対応に時間を取られましたが、ようやくすべてのデータがそろいました。
あとはデータ整理して本年度の結果をまとめ、しばらくは考える時間が続きます。