■教育について
・当研究室では、一人の学生が1つ以上の独立した研究テーマを持ち、指導教員が1対1で指導するスタイルをとっています。そのために、常日頃から指導教員と研究の進捗に関するディスカッションを行っています。ディスカッションでは、生データを元にデータの正当性や今後の計画について議論します。また、研究室全体で研究の進捗を報告し合う発表会も設けており、研究室の仲間がどのような研究をどの様に進めているのか互いに確認出来るようにしています。
・当研究室では、全ての学生さんは同僚であり、時間や手間がかかっても学生さんを丁寧に指導し、一緒に研究を進めるというスタンスを採っています。研究に関しての日々のディスカッションもそのためですし、卒業論文や修士論文の執筆では、論理的な文章を書けるように細かい部分まで指導するようにしています。この様な、日々のディスカッションや論文の執筆によって、論理的な思考力を身に着けた人材を輩出できると考えています。
・学生さんには、最終的に得られた研究成果をまとめて学術誌で誌上発表してもらい、科学の世界に名前を残して貰いたいと思っています。この10年程で私が直接指導した学部生は36人ですが、この中の7名が共著者として国際誌に論文を発表しています。大学院生については、9名中9名が共著者として国際誌に論文を発表し、更に、その中の5名は筆頭著者として論文を発表しています。科学の世界では、論文という形で新しい知見を共有、保存することが最も重要です。自分の名前を論文という形で科学の世界に残すというのはちょっと得難い経験かと思いますので、是非、研究を楽しんで下さい。
■ラボの生活
・コアタイムは設けておりませんが、登校後、自分で計画した実験をせっせと進める学生さんもいれば、ひとまず指導教員に今日やろうと考えていることを確認する学生さんもいます。
・実験室では自分専用の実験台というものは設けていませんが、専用のピペットマンと実験ノート、タイマーは用意していますので大切に扱って下さい。また、大腸菌用のプレートやDNA電気泳動用のゲル作製、そして日々使用するチップの滅菌作業やガラスピペットの綿栓作業についてはみんなで手分けして行っています。
・当研究室は、昆虫ウイルスの研究を進めています。ウイルスは生きている宿主細胞でのみ増殖する「生物と非生物の境界線上の物質」です。そのため、ウイルスそのものだけでなく、その宿主や、宿主の食べる食草も管理しています。
・研究室では、学術論文を紹介するゼミがあります。ゼミを通して、プレゼンテーション、原著論文の重要性、質疑応答の仕方、論文を投稿する際に重要な視点というものを学ぶことが出来ます。
・当研究室は、若い世代への理科教育にも力を注いでいます。その為、毎年何度か、高校生や小学生向けの講座を開催しています。延べ数では毎年100人程度の子供達に、DNAの抽出実験や、昆虫や昆虫ウイルスを用いた実験を体験していただいております。更に、近隣の保育園にも蚕や桑を提供しています。
・他にも3年生の歓迎会や忘年会、卒業旅行などのイベントがあります。また、OB、OGの来訪や、論文の受理など度々パーティーを開くことがありますし、ゼミ合宿や登山に行くこともあります。
■どんな能力が身につくのか?
・学生さんには論理的思考力とプレゼンテーション能力、そしてコミュニケーション能力を身に着けて欲しいと思っています。学生さんの多くは学部や修士課程を修了した後、公務員や民間企業で活躍しています。しかしながら、これはどの分野も同じですが、学生時代の研究テーマを勤め先で続ける人はおらず、殆どの場合、全く別の仕事をすることになります。一方で、研究を通じて得られる論理的思考力やプレゼンテーション能力、コミュニケーション能力というものは分野を問わず、共通して求められるものです。その為、当研究室では研究を通じて、これらどこででも必要とされる能力を身に着けて欲しいと考えています。実際に、ここ10年程の学生さんの進路は、県庁、市役所、製薬、農薬、食品、化粧品、IT、教員と多岐に渡っており、その先々でOBやOGが活躍しています。
・なお、学生さんの就職活動についても、積極的に支援しています。就職活動や公務員試験は人生を左右する大きなイベントです。そのため、就職活動や公務員試験対策に時間を割くことに何の問題もありません。学生さんが希望すれば、職種に対する適性の相談から、エントリーシートの書き方の指導、時には面接の練習を共にすることや、OBやOGを紹介することもあります。また、稀に関係企業やOB、OGの就職先から人材のオファーを受けることもあります。特に、OBやOGの就職先からのオファーについては、卒業生が活躍している証でもあり、非常に嬉しく思っております。