高橋 滋
(たかはし しげる)
テーマ
アブラムシの分類と生態について研究を行っています。すなわち、未記載種や日本未記録種の探索や生活史不明種の未知の部分の解明を試みています。
内容
アブラムシは多くが2~3㎜と体が小さく、軟らかく形態的特徴がつかみにくく、また、同じ種の中に翅のある個体と無い個体の2種類があります。さらに、アブラムシは生活史の中に顕微鏡では明瞭に区別できる形態の異なる、いくつかの型が出現し、また、季節によって寄主植物を換える種も多くあります。アブラムシは1年の大半を胎生(卵ではなく、アブラムシの形になっている子虫を産む)する雌だけで単為生殖を行い、秋になると両性生殖(卵を産む雌と雄)が胎生で出現して、この雌と雄が交尾をして、雌が産んだ受精卵で越冬します。また、胎生を続けながら越冬することもあります。このためアブラムシの繁殖力は極めて旺盛で、もし、条件が良ければ、理論的には1匹の胎生雌虫から出発しても、一年後には3.88×1017匹すなわち38京8千兆匹にもなります。しかし、アブラムシにはテントウムシ類・ヒラタアブ類・クサカゲロウ類などの捕食性(アブラムシを食べる)昆虫などの多くの種類の天敵がおり、このようなアブラムシの爆発的な繁殖を抑制しています。しかし、アブラムシは日本では分類が50~89%終了しているにすぎず、未記載種や生活史不明の種も多く、生態に関しても新知見が次々と発見されている昆虫であります。このような、まだまだ分かっていない、アブラムシの未知の部分の解明に挑んでいます。
主な業績
- Horikawa, Mitsuyo; Hoshiyama, To-sho; Matsuzawa, Masako; Shugyo, Takanori; Tanaka, Masami; Suzuki, Shinya; Sato, Masao; Ito, Takuya; Asakawa, Yoshinori; Kaku, Hiroto; Nishii, Takeshi; Inai, Makoto; Takahashi, Shigeru; Tsunoda, Tetsuto , Viridaphin A1 Glucoside, a Green Pigment Possessing Cytotoxic and Antibacterial Activity from the Aphid Megoura crassicauda , Journal of Natural Products, Volume 9999, issue 9999 (November 07, 2010)
- Takahashi, shigeru, The Life-cycle of Hydronaphis impatiens Shinji (Homoptera, Aphididae), with Descriptions of Unknown Morphs, Kontyu, 54(1), 41-47(1986)
- 高橋滋,ニワトコヒゲナガアブラムシに見られた2,3の中間型モルフ,jpn. J. Ent., 57(4), 889-900(1989)
- 高橋滋,稲泉三丸,セリフクレアブラムシの未記載モルフの発見と生活環, 日本応用動物昆虫学会誌,34(3), 245-248(1990)
- 高橋滋,稲泉三丸,川上幸司,日本におけるダイズアブラムシの生活環, 日本応用動物昆虫学会誌,37(4), 207-212(1993)
- 高橋滋,栃木県におけるトノサマバッタの大発生について,日本応用動物昆虫学会誌,30(1), 17-20(1986)
- 高橋滋 共著,アブラムシ類の見分け方,日本植物防疫協会,14-20(2008)