6月。
イネも少しずつ大きくなってます。
この時期はイネミズゾウムシ、ドロオイムシ、イネツトムシによる害を防ぐため、殺虫剤を散布します。
それと毎週1回の手作業による除草作業も開始。
ある程度大きくなったところでDNAマーカー選抜した苗の遺伝子型再確認を実施。
水田圃場内で葉をサンプリングし、実験室でDNA抽出。
そのあとは多数のDNAマーカーで遺伝子型を確認していきます。
遺伝子型の確認がとれたら、次年度用の採種対象が確定します。
今月は実験室に新たに機器(最後の写真)が加わりました。
このビーズ破砕機はラボ立ち上げから設備候補として考えていたのですが、10年目にようやく導入できました。
これまでは多検体のDNA抽出の際に実験室でサンプリングの後、サンプルを持って別の建物まで移動し、そこで同機種で破砕、実験室に戻り抽出作業の流れ。
この方法だと作業が分断されているので非常に効率が悪かったのですが、今回の導入でサンプリングしながら破砕、破砕しながら抽出作業と2作業を同時進行できるので大幅に作業効率が上がります。
少しずつですが、ラボ環境が改善されてきてますね。
投稿者「作物栽培学研究室」のアーカイブ
代かきと田植え
今年は2013年に実施した例年と逆方向からの代かき作業を実施。
雨がよく降ったおかげもありますが、作業は順調。
作業1日目、3.5時間。
作業2日目、5時間。
作業3日目、6.5時間。
作業4日目、2.5時間。
合計17.5時間。
今年は平均的な作業時間で実施できました。
続いて田植え。
今年は7.5m×44mの区画内に8つの試験区と種の更新で75系統、3142個体、あと空きスペースに1357個体を移植。
4日間で16時間の田植え作業、作業時に凍えるような寒さの日もありましたが無事終了。
最後に使用した農業資材を洗浄。
あとは根の活着を確認して必要であれば補植し、除草作業や殺虫剤散布になります。
これで少し気が楽になりますね。
4月作業と新型コロナ対応
4月になり、いよいよ研究が本格始動。
まずは研究計画に合わせて播種。
今年の播種はセルトレイへ5188粒と苗箱へばら撒きを4箱。
今年は数人で行えたので作業が早い!
水を与えてシルバーポリで覆い、出芽を待ちます。
出芽して苗が大きくなってきたら、DNAマーカー選抜用のサンプルはDNA抽出。
葉を2cmくらいサンプリングして768個体のDNAを抽出。
ちょうどこの時期に新型コロナ非常事態宣言。
進行中で中止できない実験は最小人数+短時間で許可。
密を避けるため、一人作業で対応。
なお、宣言後は講義だけでなくゼミもオンライン。
抽出したDNAをSSR、CAPSマーカーでPCR後に遺伝子型確認。
今年は少なめに設定していたので1日192検体確認で8日間で完了。
遺伝子型で目的の苗を選抜していきます。
圃場では例年通り、施肥をして耕耘し、入水開始。
さて次は代かきと移植作業。
毎年ハードな5月がやってきます。
いろいろと準備
コロナウィルス問題で大変ですが、4月に向けていろいろ準備中。
まずは昨年使用した木のラベル。
ヤスリをかけて文字を消し、水洗い。
しっかり乾燥させ、後で田んぼの設計に合わせてサンプル名を記入します。
続いて播種の準備。
次年度の研究計画に合わせて各系統の種を袋に入れてパッキング。
同様に計画に合わせて播種用セルトレイにサンプル名を記入し、土詰め。
あとは圃場。
例年通り、畦切りを行い、田圃内のゴミや石を撤去。
最後にトラクターで春起こし。
準備はこれで終了。
4月からいよいよ始まります!
令和2年スタート
新しい年が始まりました。
大雪がきていないので秋に植えたムギも元気に育っております。
ラボでは今年度予定している実験を実施中。
まずは米の食味研究で昔から行われているゲルコンシステンシーを測定。
試験管内で米粉をゲル化して、試験管を倒してゲルの伸びを計測。
続いて米の窒素含量を測定するため改良デュマ法の機器を稼働。
米粉をスズ箔に包んで燃焼し、還元などを経て窒素ガスを測定。
これで今年度予定していた実験はほぼ終了しました。
あとは結果をまとめて考察していきます。
次は来年度に向けた準備。
3年生は来年度の卒業研究に向けてこれまで知識力を中心に取り組んできましたが、ここからは実際の研究に必要な技術を学び、予備実験を実施していきます。
予備実験の結果から最終的に卒業研究テーマを決定し、春までに研究計画を作成する予定です。
どのような年になるかわかりませんが、今年も地道にコツコツ頑張っていきましょう!
令和元年が終わります
12月。
今年度予定の実験もまだまだあります。
まずは稈内の構造性炭水化物であるセルロース含量を測定。
ソックスレー抽出後のサンプルを塩素処理、その後アルカリ分解し、重量の変化を記録。
続いて稈内の非構造性炭水化物を酵素法で測定。
稈内の成分分析が終わったら、今度は玄米成分。
食味に影響するアミロースとタンパク質含量を測定。
とりあえず今年の実験はここまでにして、秋に収穫した種子の整理を実施。
現在保管している種子の更新、改良途中の後代系統、新たに交配した個体など今年も様々な種子を100種類以上採種したのでリストを確認しながら作業。
これまで保管していた不要な種子の廃棄も行い、最後に10個の箱に種類ごとに整理。
冷蔵庫に保管する前に、10箱分の保管リストを作成して終了。
種子を保管するスペースは冷蔵庫1台分しかないのですが、年々種子数が増えているので今後要検討です。
そして最後に今年もお世話になった実験室、作業室、居室を大掃除。
普段掃除しないところを重点的に行い、最後は床磨き。
ガラスもピカピカになり、床、棚、扉などもスッキリ。
年明けから、今年度の残りの実験や3年生の卒論のための実験などを予定。
令和2年も忙しそうですが、地道に頑張りましょう。
今年最後の圃場作業
11月にまずやらなくてはいけないことは、今年最後の圃場作業。
まずは秋起こし。
いつもなら紐拾いから始めるところですが、時間がないので秋起こししながら拾うことにしました。
トラクターで耕耘しながら落ちている紐を回収する作業は時間短縮にはなりますが、見落としが増加。
洗車の際にロータリーにいつも以上に紐が絡み、結果洗車時間が増えました。
共同利用者が紐を放置しなければいいのですが、おそらく・・・無理かな?
秋起こしの後は学生実験用に麦類を播種。
畝を作り、防草のために稲わらでマルチング。
播種後に種を食べられないように防鳥糸を張って終了。
ようやく圃場作業から解放されました。
これからは実験室で稈や玄米の成分分析。
まだまだ今年度中にやることはいっぱいありますね。
とりあえず10年
2009年11月に宇都宮大学に異動して、とりあえず10年経ちました。
前半の5年はラボの立ち上げに伴い、実験室と圃場の再生。
思い返せば、汚れた実験室の床磨きから始まり、古い機器と実験器具から使用可能なものを選別して再生、荒れ果てた圃場の再生プランを立てて実行したり・・・しかも異動して5ヶ月は耐震改修とかの理由で実験室無し。
まあ今思えば最悪なスタートですね。
2013年から耐震改修で新しくなった実験室を手に入れてからがある意味本当のラボ立ち上げかな?
ちなみに1枚目の写真が2010年の掃除と選別が終わってとりあえず実験できるようになった時の実験室、そして2〜3枚目が現在の実験室。
見比べるとタイムスリップ感が凄い。
10月の作業
10月になりました。
この時期は圃場の作業とラボでの作業・実験と多忙です。
まずは圃場。
サンプリングや採種が終わったイネから順に刈り取って撤去。
今月より配属された2人にも圃場作業を少し体験してもらいます。
ついでに来年に向けて研究圃場について色々と説明。
圃場の使い方、試験区設定、イネの植え方など、圃場で学ぶことはたくさんあります。
一方、実験室。
まずは9月にサンプリングした穂を使って収量調査。
今年は4つの試験区を実施。
地味な作業ですが、大事な作業です。
これと同時に稈の炭水化物含量分析もスタート。
第一段階としてまずはソックスレー抽出です。
設備的に1日2サンプルずつしかできないので、コツコツ進めるしかありません。
収量調査が終わると次は食味試験。
炊飯米の物理特性を解析するために、脱穀〜精米を行います。
脱穀した玄米から未熟米やゴミを取り除き、整粒を確保。
精米後、いよいよ食味試験。
炊飯後、30°Cまで冷まし、一粒ずつ硬さ・粘り・付着性を測定していきます。
さて、今年の収量と食味はどうなのか?
データがまとまるまで待ち遠しいですね。
収穫期
今年の収穫期がやってきました。
直前の台風にも耐え、圃場のイネはしっかり立っています。
収量調査や採種のために穂を刈り取り、紙袋に移して2週間ほど乾燥させます。
穂のサンプリングと同時に倒伏抵抗性に関する実験も実施。
稈を折らないように植物体をサンプリング。
実験室に移動して各節間ごとに切り分け、挫折抵抗などの物理強度や形態の測定を行います。
あとは実験により得た大量のデータを整理し、確認。
天候にも恵まれ、予定通り無事に収穫期の実験が実施できました。
残り数系統の採種が終われば、次はいよいよ圃場の撤去作業。
毎年色々と大変ですが、もう少しで圃場作業が終わりますね。