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真夏の作業と実験

8月。
猛暑、酷暑が続いております。

田圃では、暑さの影響かイネが若干早めに生育が進んでいます。
危険な暑さですが、試験区に対して毎週の除草作業も実施。
加えて、田圃の空きスペースも除草。
今年は少し水位を下げてトラクターによる代掻きで除草作業。
試験区の近くや深い場所は慎重に行い、無事終了。
これまで色々試していますが、作業効率はいいです。

一方、出穂から始まる実験も進行中。
田圃からイネを実験室へ移し、解析部位である節間をサンプリング。
形態特性や物理特性を測定し、80℃で乾燥。
乾物重を測定後、粉砕して保管。
一部のサンプルについてソックスレー抽出法で処理。

今年も粉砕作業が大変なので、新たな粉砕機を導入しました。
こちらの作業効率も改善できるといいのですが・・・

猛暑の中

7月、早くも猛暑。

7月前半は田んぼ作業があまりないのでプレゼン練習。
本研究室では2回の論文紹介を通してプレゼン技術を学びます。
スライドのデザインや話し方に加え、学生にはスマホで自分のプレゼンを録画して後で確認してもらい改善点を見出してもらいます。

7月後半、まずは交配。
今年は戻し交雑をする予定でしたので当日早朝から準備。
温湯除雄し、花が咲くのを待ち、不要な小花を切除。
9時半から10時にかけて受粉を行い、袋をかけて終了。

出穂が始まる前には支柱立て、防鳥糸張り、そして倒伏防止の紐張り。
今年田んぼに立てる支柱の数は382本。
午前中から非常に暑いですが、除草作業とともに地道に進めていきます。

それと・・・
7月22日はアグリカレッジを担当。
講義内容は「イネの生産性向上を目的とした遺伝子座の探索」。
この日も猛暑でしたが30名の高校生と一緒に前半は座学、後半は圃場で実験系統の説明とQTL解析体験。
2時間半の講義でかなり詰め込んだ内容でしたが、少しでも興味を持ってもらえるといいですね。

7月は色々と忙しい感じでしたが、8月からはイネの様々な実験が始まります。
ここからが研究の本番なので、猛暑に負けないように体調管理が大事ですね。

圃場管理と実験

じわじわ暑い日が増えてくる6月になりました。

圃場管理では除草剤や殺虫剤散布、手作業による除草を実施。
貴重な実験サンプルを守るために必要な作業です。

中旬には根箱試験のサンプルが播種後40日になりましたので実験開始。
神山先生の指導のもと、まずは根サンプルの回収。
この方法では土壌内での根系の状況をそのまま確認できるので地下部の形態を解析できます。
根系の状況を維持したままビニールに挟み、実験室でスキャナーで画像保存。
そのあとは冠根の数や太さを測定し、層別にサンプリングして乾燥、乾物重から根量を測定します。
初めての実験なのでどのような結果になるか、楽しみです。

下旬は毎年恒例の圃場に移植した系統の遺伝子型確認。
移植前にDNAマーカー選抜したサンプルに間違いがないかダブルチェックです。

一部実験が始まりましたが、主要な実験はこれから。
7月には過酷な支柱立てと防鳥系張りもあり、徐々に忙しくなりますね。

代かき〜移植と根箱試験

超多忙の5月。

DNAマーカー選抜を実施しつつ、まずは代かき作業。
毎年時間のかかる作業ですが、今年は・・・

1日目 3.5時間
2日目 4.5時間
3日目 4.5時間
4日目 6時間
合計 18.5時間

昨年と同じくらいの作業時間で無事完了。

続いて、移植。
今年は11の試験区に4174個体と空きスペースに1445個体を移植。
夏日のように暑い日もあり大変でしたが、7日(23.5時間)で完了。

最後に卒論研究に含まれる「根箱・ピンボード法」による根系調査を神山先生のご協力のもと開始しました。
この方法は根系構成要素の配置や構造を破壊せずに根系を採取することができるので、実験系統の深根性や根の表面積を解析します。
まずは根箱に土を入れ、プール状の環境に移して播種。
出芽後は湛水条件で管理し、播種から40日後に根の形態解析を実施する予定です。

研究スタート

4月。

イネ研究が始まりました。
まずは3月に準備したセルトレイに消毒・浸種した種子を播種。
今年は8356個体分のセルトレイと苗箱1枚分のばら撒き。
播種後はプラ舟に移し、水を与えて、シルバーポリを被せます。
出芽後はプール育苗で管理していきます。

播種した960個体分はグロスチャンバーで育苗し、10日後に葉をサンプリングしてDNA抽出。
こちらについては各個体に対して2つのDNAマーカーで遺伝子型を確認し、移植苗を選抜します。

4月の後半から田んぼの準備。
施肥後にトラクターで耕耘し、入水開始。
この後は毎年大変苦労する代かき作業です。

準備と学会発表

3月になりました。
今年は雪が降ることなく、春らしい感じです。
春ということで、イネ研究の準備を開始。

まずは種の準備。
研究計画を作成後、必要な種を袋に移してパッキング。
今年の研究予定は12の実験があり、さらに種の更新もあるので扱う系統が多いです。
間違えないように準備していきます。

続いて各試験区ごとに播種用のセルトレイを用意し、粒状培土を入れておきます。
今回は苗箱28枚分の準備を行い、播種を行うガラス室で保管。

3月下旬には圃場の準備。
スコップで畦切りを行い、トラクターで春起し。

一方で3月末は日本作物学会で東京農工大学 府中キャンパスへ。
今回の発表タイトルは「イネの上位部稈物理的強度に関するBSUC11領域の矮小化及び湾曲型倒伏に対する効果」。
内容は2014年と2016年に発表したBSUC11について、近似同質遺伝子系統の作出と機能解析を行い、加えて圃場試験における倒伏抵抗性効果の検証を実施した結果を報告しました。
発表時に質問して頂いた方々に感謝申し上げます。

本年度の実験完了

2月、卒業論文や修士論文の発表時期。
一方で研究の方は本年度予定の実験を終わらせる必要があります。

まずは先月から続く稈のホロセルロース含量の分析。
こちらはサンプリング、前処理、測定まで入れると半年続いている実験で、ようやくデータがまとまります。
このデータから対象サンプルの倒伏抵抗性を評価していきます。

続いて、同じく稈の構造性炭水化物であるリグニンの分析。
チオグリコール酸リグニンによるリグニン定量法を用いて実験。
スモールスケールの実験ですが、一連の作業に3日かかります。
こちらのデータも倒伏抵抗性の評価に利用。

最後に登熟と追肥(実肥)に関する研究のために葉身の窒素含量分析。
こちらは改良デュマ法による測定を実施。
久々に機器を動かしたので実験前のシステムチェックに時間がかかりましたが、こちらも無事に終了。

なんとか2月中に本年度の実験が完了しました。
これからこれまで得たデータを整理・確認し、3月からは次年度の研究の準備を始めます。

構造性炭水化物含量測定と発表練習

2023年になりました。
引き続き実験を実施し、本年度分の研究を進めます。

1月は稈に含まれる構造性炭水化物(ホロセルロース、α-セルロース、ヘミセルロース)の含量を測定していきます。
アルベン抽出後のサンプルを蒸留水に入れ、70〜80℃の中で亜塩素酸ナトリウムと氷酢酸を加えながら4時間かけて分解。
ガラスフィルターに残った残留物の重さからホロセルロース含量を測定。
残留物を水酸化ナトリウム水溶液で処理し、α-セルロースとヘミセルロース含量を測定。
計8時間以上かかる実験ですが、地道に進めていきます。

一方で3年生の特別演習と特別研究ではプレゼンを学習。
最後に特別研究の内容について要旨の作成とプレゼンを実施。
プレゼンの様子はスマホで録画して自己確認してもらいます。
来年の卒論発表に向けた必要なスキルなので、しっかり勉強しましょう。

11〜12月

2022年の最後の2ヶ月は超多忙。

まずは実験。
継続してソックスレー抽出を実施しつつ、玄米のタンパク質含量やアミロース含量、稈の非構造性炭水化物含量を測定。
過去にない量のサンプル数なのでスケジュールをしっかり組んで進めていきます。

一方で3年生の特別研究も実施。
今年は「実肥」に着目して、収量特性や稈内非構造性炭水化物蓄積特性を解析。
得られたデータを整理し、図表の作成、緒言・方法・結果・考察の流れでレポートを作成。
そして1月末にはこの内容について発表。
この一連の作業を通して卒論作成までの流れを学習してもらいます。

12月の最後は種子の整理と大掃除。

年々増えて行く種子をリストを作成しながら整理・収納していきます。
今年採種した分をなんとか収納できましたが、種子用冷蔵庫のスペースがいっぱいです。
来年以降、どうするか要検討です。

毎年恒例の大掃除。
今年も教員研究室、実験室、作業室を丁寧に掃除。
定期的にある程度掃除はしていますが、普段はしない場所などは汚れが溜まってますし、床もブラッシングするとかなり汚れているのがわかります。
2日に分けて実施し、とても綺麗になりましたので満足です。

2023年も忙しくなりそうですが、地道に頑張っていきましょう!

収量調査、脱穀〜試食、秋起し

10月は採種から始まり、圃場にあるサンプルと資材の撤去。
新しく配属された3年生にも稲刈りを手伝ってもらって、無事終了。

一方で研究では各試験区の収量調査を開始。
今年は試験区も多く、収量性をターゲットにしている研究も含まれるので長期戦です。
穂を数え、籾を数え・・・と地味な作業ですが、地道に進めていきます。

それと同時に食味試験用のサンプル調整も実施。
脱穀し、ゴミや被害粒を取り除く作業を行い、得られた玄米サンプルを精米して鮮度維持のために真空パック。
1〜2合ずつパッキングし、実験実施まで保管しておきます。
ついでに、せっかくなので今年の出来を少しだけ炊飯して試食。
出来はいい気がしますが、成分分析や炊飯米物理試験の結果が出るまでよくわかりません。

最後に、田んぼの秋起しを行い、来年に備えます。
毎年田んぼが終わると少し寂しい気持ちになりますが、ここで一区切り。
やるべき実験が山のようにあるので、これから3月まで実験室で頑張ります。