11月。
徐々に気温も下がり、秋らしくなってきました。
この時期になるとお世話になった水田圃場ともしばらくお別れです。
本年、最後の圃場作業は秋起し。
圃場に残っている植物をすき込み、圃場の土に空気を入れておきます。
最後に今年も頑張ったトラクターを綺麗にして終了。
圃場作業が終わると次は実験室での作業。
まずは各試験区の収量特性を調査。
9月にサンプリングした穂の数、1穂粒数、登熟歩合、粒重を測定。
一部の試験では穂の構造や空籾の発生位置などの細かい解析も実施。
地道な作業ですが、作物学の基本的なところなのでしっかりと進めていきます。
一方で稈の炭水化物蓄積特性の解析も開始。
まずは構造性炭水化物。
粉砕したサンプルを20〜30mgずつチューブに入れ、抽出したサンプル溶液のデンプン、ショ糖、単糖類の含量を測定していきます。
今年もサンプル数が多いのでこちらも地道に進めていきます。
本年度予定の実験はまだまだあるので大変ですが、とにかく一つ一つ終わらせてデータをまとめていきましょう。
投稿者「作物栽培学研究室」のアーカイブ
脱穀と調整
収穫したサンプルの収量調査と圃場のイネの採種を行う合間に、食味調査用のサンプルの脱穀と調整を実施。
継続して確認している系統に加え、今年は新たな実験系統も含まれているので種類が増加。
さらに、今年から基盤教育の講義で実施する食味試験のサンプルも含まれているので例年より作業量が増えています。
まずは穂から籾を外し、もみすり機で脱穀。
脱穀後のサンプルはふるいにかけて未熟米やゴミを除去。
そのあとは地味にピンセットで残った籾殻や被害粒などの除去を行い、綺麗な玄米を選別。
最後に、精米機にかけて、精白米を真空パックして保管。
とりあえずいつでも食味試験を実施できる様に準備が終わりました。
田圃が片付いたら、炊飯して官能試験、成分分析など行っていきます。
収穫時期なのに猛暑・・・
9月、収穫時期です。
この時期は圃場や実験室内での倒伏抵抗性試験や稈のサンプリング、そして収量・食味調査用の穂の収穫など、大忙し。
9月上旬より出穂が早い系統から順に試験やサンプリングを行い、約3週間これが続きます。
今年は9月になっても気温が下がらず、これらの作業を猛暑の中、実施。
熱中症で倒れないように対策をしていますが、長時間の圃場作業はかなり危険。
さらに雨が続いて予定がずれ、1日の作業量が倍増するなどなかなか難しい対応となりました。
なんとかこの忙しい時期を乗り越えたところで、ようやく秋らしい気温に・・・
あとは次年度に向けた採種と植物体や資材の撤去です。
秋起しまで1ヶ月あるので、少しずつ進めていきましょう。
真夏の作業と実験
8月。
猛暑、酷暑が続いております。
田圃では、暑さの影響かイネが若干早めに生育が進んでいます。
危険な暑さですが、試験区に対して毎週の除草作業も実施。
加えて、田圃の空きスペースも除草。
今年は少し水位を下げてトラクターによる代掻きで除草作業。
試験区の近くや深い場所は慎重に行い、無事終了。
これまで色々試していますが、作業効率はいいです。
一方、出穂から始まる実験も進行中。
田圃からイネを実験室へ移し、解析部位である節間をサンプリング。
形態特性や物理特性を測定し、80℃で乾燥。
乾物重を測定後、粉砕して保管。
一部のサンプルについてソックスレー抽出法で処理。
今年も粉砕作業が大変なので、新たな粉砕機を導入しました。
こちらの作業効率も改善できるといいのですが・・・
猛暑の中
7月、早くも猛暑。
7月前半は田んぼ作業があまりないのでプレゼン練習。
本研究室では2回の論文紹介を通してプレゼン技術を学びます。
スライドのデザインや話し方に加え、学生にはスマホで自分のプレゼンを録画して後で確認してもらい改善点を見出してもらいます。
7月後半、まずは交配。
今年は戻し交雑をする予定でしたので当日早朝から準備。
温湯除雄し、花が咲くのを待ち、不要な小花を切除。
9時半から10時にかけて受粉を行い、袋をかけて終了。
出穂が始まる前には支柱立て、防鳥糸張り、そして倒伏防止の紐張り。
今年田んぼに立てる支柱の数は382本。
午前中から非常に暑いですが、除草作業とともに地道に進めていきます。
それと・・・
7月22日はアグリカレッジを担当。
講義内容は「イネの生産性向上を目的とした遺伝子座の探索」。
この日も猛暑でしたが30名の高校生と一緒に前半は座学、後半は圃場で実験系統の説明とQTL解析体験。
2時間半の講義でかなり詰め込んだ内容でしたが、少しでも興味を持ってもらえるといいですね。
7月は色々と忙しい感じでしたが、8月からはイネの様々な実験が始まります。
ここからが研究の本番なので、猛暑に負けないように体調管理が大事ですね。
圃場管理と実験
じわじわ暑い日が増えてくる6月になりました。
圃場管理では除草剤や殺虫剤散布、手作業による除草を実施。
貴重な実験サンプルを守るために必要な作業です。
中旬には根箱試験のサンプルが播種後40日になりましたので実験開始。
神山先生の指導のもと、まずは根サンプルの回収。
この方法では土壌内での根系の状況をそのまま確認できるので地下部の形態を解析できます。
根系の状況を維持したままビニールに挟み、実験室でスキャナーで画像保存。
そのあとは冠根の数や太さを測定し、層別にサンプリングして乾燥、乾物重から根量を測定します。
初めての実験なのでどのような結果になるか、楽しみです。
下旬は毎年恒例の圃場に移植した系統の遺伝子型確認。
移植前にDNAマーカー選抜したサンプルに間違いがないかダブルチェックです。
一部実験が始まりましたが、主要な実験はこれから。
7月には過酷な支柱立てと防鳥系張りもあり、徐々に忙しくなりますね。
代かき〜移植と根箱試験
超多忙の5月。
DNAマーカー選抜を実施しつつ、まずは代かき作業。
毎年時間のかかる作業ですが、今年は・・・
1日目 3.5時間
2日目 4.5時間
3日目 4.5時間
4日目 6時間
合計 18.5時間
昨年と同じくらいの作業時間で無事完了。
続いて、移植。
今年は11の試験区に4174個体と空きスペースに1445個体を移植。
夏日のように暑い日もあり大変でしたが、7日(23.5時間)で完了。
最後に卒論研究に含まれる「根箱・ピンボード法」による根系調査を神山先生のご協力のもと開始しました。
この方法は根系構成要素の配置や構造を破壊せずに根系を採取することができるので、実験系統の深根性や根の表面積を解析します。
まずは根箱に土を入れ、プール状の環境に移して播種。
出芽後は湛水条件で管理し、播種から40日後に根の形態解析を実施する予定です。
研究スタート
4月。
イネ研究が始まりました。
まずは3月に準備したセルトレイに消毒・浸種した種子を播種。
今年は8356個体分のセルトレイと苗箱1枚分のばら撒き。
播種後はプラ舟に移し、水を与えて、シルバーポリを被せます。
出芽後はプール育苗で管理していきます。
播種した960個体分はグロスチャンバーで育苗し、10日後に葉をサンプリングしてDNA抽出。
こちらについては各個体に対して2つのDNAマーカーで遺伝子型を確認し、移植苗を選抜します。
4月の後半から田んぼの準備。
施肥後にトラクターで耕耘し、入水開始。
この後は毎年大変苦労する代かき作業です。
準備と学会発表
3月になりました。
今年は雪が降ることなく、春らしい感じです。
春ということで、イネ研究の準備を開始。
まずは種の準備。
研究計画を作成後、必要な種を袋に移してパッキング。
今年の研究予定は12の実験があり、さらに種の更新もあるので扱う系統が多いです。
間違えないように準備していきます。
続いて各試験区ごとに播種用のセルトレイを用意し、粒状培土を入れておきます。
今回は苗箱28枚分の準備を行い、播種を行うガラス室で保管。
3月下旬には圃場の準備。
スコップで畦切りを行い、トラクターで春起し。
一方で3月末は日本作物学会で東京農工大学 府中キャンパスへ。
今回の発表タイトルは「イネの上位部稈物理的強度に関するBSUC11領域の矮小化及び湾曲型倒伏に対する効果」。
内容は2014年と2016年に発表したBSUC11について、近似同質遺伝子系統の作出と機能解析を行い、加えて圃場試験における倒伏抵抗性効果の検証を実施した結果を報告しました。
発表時に質問して頂いた方々に感謝申し上げます。
本年度の実験完了
2月、卒業論文や修士論文の発表時期。
一方で研究の方は本年度予定の実験を終わらせる必要があります。
まずは先月から続く稈のホロセルロース含量の分析。
こちらはサンプリング、前処理、測定まで入れると半年続いている実験で、ようやくデータがまとまります。
このデータから対象サンプルの倒伏抵抗性を評価していきます。
続いて、同じく稈の構造性炭水化物であるリグニンの分析。
チオグリコール酸リグニンによるリグニン定量法を用いて実験。
スモールスケールの実験ですが、一連の作業に3日かかります。
こちらのデータも倒伏抵抗性の評価に利用。
最後に登熟と追肥(実肥)に関する研究のために葉身の窒素含量分析。
こちらは改良デュマ法による測定を実施。
久々に機器を動かしたので実験前のシステムチェックに時間がかかりましたが、こちらも無事に終了。
なんとか2月中に本年度の実験が完了しました。
これからこれまで得たデータを整理・確認し、3月からは次年度の研究の準備を始めます。