投稿者「作物栽培学研究室」のアーカイブ

田植え完了

「代かき〜田植え」の5月になりました。

今年は雨も多かったので昨年よりは少し楽に代かきができました。
作業時間は、

1日目 3時間
2日目 5時間
3日目 5時間
4日目 5時間
合計18時間

昨年よりは3時間少ないですが、14aの面積ですからね・・・

一方田植えは今年から面積が1.5倍くらいになり、こちらは仕事量増加。
12の試験区に4084個体と空きスペースに1831個体の移植。
昨年より1.4倍の苗数の移植となりましたが、5日(27.5時間)で無事完了。

今年一番ハードな農作業がなんとか終わりました。
あとは1週間後苗の活着を確認し、除草剤・殺虫剤の散布などの管理作業を行います。


倒伏抵抗性に関与する新規QTLの論文が公開されました

本研究室で行ったイネの倒伏抵抗性に関する研究の論文「Novel QTL for lodging resistance, PRL4, improves physical properties with high non-structural carbohydrate accumulation of basal culms in rice (Oryza sativa L.)」が植物育種の国際誌「Euphytica」に受理されました。

内容は、イネの収穫期における下位部の支持力に関与する新たなQTLの同定とその機能について述べています。(図を参照)

既にオンラインで公開されています(DOI 10.1007/s10681-022-03036-6)ので興味のある方は読んで頂ければ幸いです。

4月の作業

4月になり、イネ研究のスタートです。

まずは播種。
3月から準備してきたセルトレイに消毒・浸種した種を播種していきます。
今年は8164個体分のセルトレイと苗箱1枚分のばら撒き。
昨年より1.4倍の播種量となりましたが、なんとか無事に1日で完了。
水を与えて、シルバーポリを被せ、出芽を待ちます。
気温が安定していたこともあり、1週間でほぼ均一に出芽を確認。
田植えまでプール育苗で管理していきます。

播種から2週間後、苗が大きくなってきたので選抜用の768個体からDNA抽出を実施。
昨年から設備がある程度整ったので効率的に1日で完了。
この後はDNAマーカーで遺伝子型を確認し、選抜していきます。

4月後半、田んぼの準備開始。
まずは施肥。
今年は3人で1時間程で終わり、その後はトラクターですき込み、入水開始。
この後は毎年悩む、代かき作業。
こちらの作業も効率的になるといいですが・・・

最後に、4年生は卒業研究の計画発表。
各研究テーマについて、「背景」「研究状況」「問題点」「仮説」「目的」を説明した上で実験内容の説明をしてもらいました。
発表を通して理解不足の部分などを確認できたので、今後も継続して勉強していきましょう。

春に向けて準備中

3月になり、暖かい日も増えてきました。
1ヶ月後の播種に向けて色々と準備を進めていきます。

まずは圃場実験に用いる系統の表現型を確認。
結果から播種する系統を決定します。

続いて研究計画に従い、種子の準備。
実験に必要な種子数ずつサンプル名を書いた袋に入れていきます。

最後は圃場の準備。
まずはスコップで地道に畦切り。
終わったらトラクターで春起し。
せっかくなので学生にはトラクターについても勉強してもらいました。

まもなく4月。
今年から試験区が1.5倍なので色々と忙しくなりそうです。

卒論発表と実験スタート

2月初めは卒論発表。
今年もコロナの影響でオンライン発表となりました。
午前中は動画での発表、午後は書き込み形式の質疑応答。
対面での発表とは違いますが、これはこれで良い点もありますね。
発表者の皆さん、お疲れ様でした。

さて、卒論発表で4年生の研究は終了しましたが、同時に現3年生の卒業研究が開始です。
最初は研究計画の議論と田植えに向けた準備。
とりあえす、新たなプライマーが届いたので研究に使う系統の遺伝子型をDNAマーカーで確認からスタート。
結果が出たら、染色体地図の作成などを進めていきます。

まだまだ寒い日が続きますが、春に向けてしっかり準備していきましょう!

2022年1月

2022年になりましたが・・・
昨年と同様、新型コロナウィルスが広がってます。
今年も大変な1年になりそうです。

さて、年始からラボでは実験の続きを開始。
本年度の成分分析のラストは構造性炭水化物のリグニン。
昨年の秋からイネの稈に含まれる炭水化物含量を測定してきて、ようやく終了です。

この分析と同時に、セルロース分析に用いたガラスフィルターの洗浄を実施。
酸に一晩浸けて分解、次に水に浸けた後にろ過しながら水道水〜蒸留水〜アセトンで洗浄。
最後は乾燥機で仕上げて収納。

今年度予定の残りの実験は、ジェノタイピング。
やっと終わりが見えてきました。

一方、来月は卒論の発表会。
4年生はその準備中ですが、先がけて3年生の特別研究を発表してもらいました。
卒論発表と同様に要旨を作成し、発表はパワポを使った口頭発表。
発表中は自分のスマホで撮影して、現在のプレゼン力を確認してもらいます。
1年後、どれくらい成長できるか楽しみですね。

特別研究と大掃除

12月になり、畑のムギ達も冬支度モードです。

11月から引き続き実験三昧ですが、12月は3年生の「特別研究」の実験も追加です。
季節的に植物体は無いので、玄米について形態、物理強度、成分などの分析を行います。
データがまとまったら、図表を作成し、ミニ論文を書いてもらいます。
最後にプレゼンもしてもらうので、次年度の卒論発表までの一連の流れを体験する感じです。

実験で多忙な中、もう一つ大事な仕事。
種子の整理。
今年採種した種子を封筒に入れ、種子保管用BOXに整理して冷蔵庫で保管します。
昨年も悩みましたが、種子が増えすぎて今年も整理が大変。
種子の所在を明確にするため毎年リストを更新していますが、A4用紙1枚にまとめるのが困難になってきました。
冷蔵庫のスペースも無いので何か対処法を考えないといけませんね。

12月最後は恒例の大掃除。
実験室や作業室の隅々までキレイにして、最後は床磨き。
入り口のドア、ガラス、棚など普段あまり掃除しないところもキレイになり、スッキリです。

あともう一つ、4年生の卒業論文が完成しました。
実験自体は10月中に終了したので2ヶ月間かけての作成です。
本ラボは論文を書いてから、学科の発表会を行う形をとっています。
プレゼンするためには自分の研究をしっかり理解しておくことが大事です。
発表会まで1ヶ月くらいあるのでしっかり準備できますね。

急ピッチで実験中

11月。
今月から実験室での作業が主になります。
今年は炭水化物含量の測定が多いので急ピッチで進めます。

基本的に2つの実験を同時に実施。
酵素法を使って稈のデンプン、ショ糖、単糖類を測定。
一方で脱脂した稈サンプルを蒸留水、亜塩素酸ナトリウム、酢酸とともに80℃で加温し、ろ過してホロセルロース含量を測定。
さらに水酸化ナトリウムを使ってホロセルロースに含まれるヘミセルロースを測定。

この2つ実験を12月下旬までの2ヶ月間行っていきます。
問題なく進めばスケジュール通りにできますが、おそらく1月中旬までかかるかな・・・

稲刈り、収量調査、食味用調整、圃場撤去

10月になり、3年生が2名配属されました。
とりあえず初仕事として、恒例の稲刈りを実施。
今年は終わりましたが、来年のために圃場や農機具の使い方を勉強してもらいます。

実験室では収穫サンプルの収量調査を実施。
今年もサンプルが多いですが、他の実験のスケジュールも考えて2週間集中して行い、なんとか完了。
続いて食味試験用のサンプルを脱穀〜精米。
年々規模が拡大してきていますが、8区画の作業を3日で完了。
後で実験や試食に使うので大切に保管しておきます。

最後に圃場の撤去。
イネ、支柱、ひもなどを圃場から撤去し、トラクターで秋起こし。
寂しくなりますが、今年もこれで田んぼとお別れです。

収穫期

9月になり収穫シーズンがやってきました。
今年はこの時期に大量に倒伏抵抗性の実験と穂のサンプリングがあり、大変です。

まずは倒伏抵抗性の実験。
圃場での植物体の傾き、下位部の強さの測定、あとは実験室内で稈の物理強度を測定していきます。
朝9時から夕方5時までのぶっ続けの実験が数日続きましたが、なんとか予定通り完了。

続いて穂のサンプリング。
収量性の調査、食味試験用に個体ごと、ブロックごとに収穫していきます。
涼しくなってきたので少し楽になり、こちらも順調に完了。
収穫物は部屋に移し、2週間ほど風乾します。

今年は運良く台風や長雨と実験日が重ならなかったので、助かりました。
あとは採種と圃場での撤去作業、実験室で収量調査、食味試験、成分分析・・・
まだまだやることは多いですが、収穫期の山は乗り切ったので一安心です。