投稿者「作物栽培学研究室」のアーカイブ

2022年1月

2022年になりましたが・・・
昨年と同様、新型コロナウィルスが広がってます。
今年も大変な1年になりそうです。

さて、年始からラボでは実験の続きを開始。
本年度の成分分析のラストは構造性炭水化物のリグニン。
昨年の秋からイネの稈に含まれる炭水化物含量を測定してきて、ようやく終了です。

この分析と同時に、セルロース分析に用いたガラスフィルターの洗浄を実施。
酸に一晩浸けて分解、次に水に浸けた後にろ過しながら水道水〜蒸留水〜アセトンで洗浄。
最後は乾燥機で仕上げて収納。

今年度予定の残りの実験は、ジェノタイピング。
やっと終わりが見えてきました。

一方、来月は卒論の発表会。
4年生はその準備中ですが、先がけて3年生の特別研究を発表してもらいました。
卒論発表と同様に要旨を作成し、発表はパワポを使った口頭発表。
発表中は自分のスマホで撮影して、現在のプレゼン力を確認してもらいます。
1年後、どれくらい成長できるか楽しみですね。

特別研究と大掃除

12月になり、畑のムギ達も冬支度モードです。

11月から引き続き実験三昧ですが、12月は3年生の「特別研究」の実験も追加です。
季節的に植物体は無いので、玄米について形態、物理強度、成分などの分析を行います。
データがまとまったら、図表を作成し、ミニ論文を書いてもらいます。
最後にプレゼンもしてもらうので、次年度の卒論発表までの一連の流れを体験する感じです。

実験で多忙な中、もう一つ大事な仕事。
種子の整理。
今年採種した種子を封筒に入れ、種子保管用BOXに整理して冷蔵庫で保管します。
昨年も悩みましたが、種子が増えすぎて今年も整理が大変。
種子の所在を明確にするため毎年リストを更新していますが、A4用紙1枚にまとめるのが困難になってきました。
冷蔵庫のスペースも無いので何か対処法を考えないといけませんね。

12月最後は恒例の大掃除。
実験室や作業室の隅々までキレイにして、最後は床磨き。
入り口のドア、ガラス、棚など普段あまり掃除しないところもキレイになり、スッキリです。

あともう一つ、4年生の卒業論文が完成しました。
実験自体は10月中に終了したので2ヶ月間かけての作成です。
本ラボは論文を書いてから、学科の発表会を行う形をとっています。
プレゼンするためには自分の研究をしっかり理解しておくことが大事です。
発表会まで1ヶ月くらいあるのでしっかり準備できますね。

急ピッチで実験中

11月。
今月から実験室での作業が主になります。
今年は炭水化物含量の測定が多いので急ピッチで進めます。

基本的に2つの実験を同時に実施。
酵素法を使って稈のデンプン、ショ糖、単糖類を測定。
一方で脱脂した稈サンプルを蒸留水、亜塩素酸ナトリウム、酢酸とともに80℃で加温し、ろ過してホロセルロース含量を測定。
さらに水酸化ナトリウムを使ってホロセルロースに含まれるヘミセルロースを測定。

この2つ実験を12月下旬までの2ヶ月間行っていきます。
問題なく進めばスケジュール通りにできますが、おそらく1月中旬までかかるかな・・・

稲刈り、収量調査、食味用調整、圃場撤去

10月になり、3年生が2名配属されました。
とりあえず初仕事として、恒例の稲刈りを実施。
今年は終わりましたが、来年のために圃場や農機具の使い方を勉強してもらいます。

実験室では収穫サンプルの収量調査を実施。
今年もサンプルが多いですが、他の実験のスケジュールも考えて2週間集中して行い、なんとか完了。
続いて食味試験用のサンプルを脱穀〜精米。
年々規模が拡大してきていますが、8区画の作業を3日で完了。
後で実験や試食に使うので大切に保管しておきます。

最後に圃場の撤去。
イネ、支柱、ひもなどを圃場から撤去し、トラクターで秋起こし。
寂しくなりますが、今年もこれで田んぼとお別れです。

収穫期

9月になり収穫シーズンがやってきました。
今年はこの時期に大量に倒伏抵抗性の実験と穂のサンプリングがあり、大変です。

まずは倒伏抵抗性の実験。
圃場での植物体の傾き、下位部の強さの測定、あとは実験室内で稈の物理強度を測定していきます。
朝9時から夕方5時までのぶっ続けの実験が数日続きましたが、なんとか予定通り完了。

続いて穂のサンプリング。
収量性の調査、食味試験用に個体ごと、ブロックごとに収穫していきます。
涼しくなってきたので少し楽になり、こちらも順調に完了。
収穫物は部屋に移し、2週間ほど風乾します。

今年は運良く台風や長雨と実験日が重ならなかったので、助かりました。
あとは採種と圃場での撤去作業、実験室で収量調査、食味試験、成分分析・・・
まだまだやることは多いですが、収穫期の山は乗り切ったので一安心です。

引き続き、猛暑

8月、オリンピックもコロナ感染も盛り上がってますが、引き続き猛暑です。
田んぼではこの暑さの中、倒伏防止の紐張り、そして除草作業を毎週実施。
大変ですが、田んぼのイネを守るために必要な作業です。

一方で出穂から始まる実験がスタート。
倒伏抵抗性の研究のため、稈の物理特性の解析と成分分析を実施中。
田んぼからイネをサンプリングして、実験室にて材料試験機で対象となる節間の物理特性を測定。
測定後、80℃で乾燥させて重量を測り、ブレンダーで粉砕して成分分析へ。
成分分析は時間がかかるソックスレー抽出器で脂質の除去から開始。

これから色々実験が始まり忙しくなるので、熱中症とコロナの対策をしつつ、やるべきことを確実に進めていくのみです!


猛暑

長い梅雨が明け、ようやく夏がやってきました。
そしていつもの猛暑到来。

暑いですが、毎年7月は炎天下の肉体労働があります。
まずは支柱立て。
今年は324本の支柱を使用。
続いて立てた支柱に防鳥糸張り。
162本の防鳥糸を支柱に設置。
あとは出穂した系統から順に倒伏防止のひも張りです。

今年は気温のせいか出穂が少し早い模様。
そんなわけで交配作業を1週間早く実施。
朝7時過ぎからまずは温湯除雄。
そのあとは開花を待って、開花していない小花を除去。
10時前からドナー親を用意して開花を待って受粉。
最後に袋をかぶせて温室で管理。
無事に種子ができるように秋まで見守っていきましょう。

色々と確認中

6月。
田んぼのイネも徐々に大きくなってきました。

毎年この時期は先月DNAマーカー選抜した個体が田んぼに正しく移植されているか確認しています。
まずは田んぼで育成中のイネの葉をチューブにサンプリング。
実験室に持ち帰り、DNA抽出。
今年は82個体が確認の対象なのでいつもより少し多めです。
この後は抽出したDNAを使って、PCR〜電気泳動を経て遺伝子型を確認していきます。

コロナの影響でPCR関係の試薬などが不足し、普段使っているものが手に入りにくいことが昨年はありました。
なので今回はいつもと違う試薬の性能を確認することも兼ねて実施。
とりあえず「試薬がなくて実験がストップ」ということは避けたいですね。

ついでに昨年買ったサーモグラフィーカメラの使用法なども確認。
FLIR社のC3という機種と解析ソフトを使って、実験での使用法をテスト。
これを使って面白い結果が得られるように、いろいろと活用していきましょう。

代掻き〜田植え

5月、毎年大変な時期がやってきました。

4月からのDNAマーカー選抜を進めつつ、まずは代掻き。
今年は雨があまり降らなかったので圃場はカラカラ。
その結果作業時間は・・・

1日目 3.5時間
2日目 5時間
3日目 4.5時間
4日目 8時間
合計21時間

今年は昨年より3時間半長くかかりました。
4日目の8時間は日程的にギリギリだったので意地で仕上げた感じです。

なんとか代掻きが間に合ったので、次は田植え。
今年は10の試験区で69系統を使った2972個体と空きスペースに1250個体の移植。
こちらも4日間で終了。

ようやく4月から始まった育苗、選抜、代掻き、移植が終わり、肩の荷が下りました。
この後は除草剤・殺虫剤の散布などの管理作業が始まります。

4月、研究開始

4月になり、いろいろと研究が始まりました。

まず、4年生は研究計画書を作成し、計画内容の説明。
研究をこれから行うので「何のために」「何をするのか」を確認します。

イネの方はまずはじめに播種から。
今年はセルトレイに5956個体分の播種と苗箱2枚分のばら撒きを実施。
間違えると研究を遂行できなくなるので重要な作業です。
播種後、1週間でほぼ出芽が確認され、一安心。
この後は移植まで育苗していきます。

DNAマーカー利用選抜用の苗はグロスチャンバーで9日ほど育苗し、葉をサンプリングしてDNA抽出。
新たに導入したビーズ破砕機を活用し、2日間で完了。
今年の対象個体数は1152個体ですが、マーカー数がいつもより多いのでここからが大変。
この後はPCR〜泳動の流れで粛々と実験し、移植する苗を選抜します。

最後に圃場に施肥して入水を開始。
そして毎年苦労する代掻きがいよいよ始まります。
今年はすんなりと水がたまってくれればいいのですが・・・・