3月。
4年生は卒業、そして残された3年生と教員は研究開始です。
まずは田んぼで使う木札の洗浄。
マジックで書いた系統名をヤスリで消し、水洗いして乾燥。
十分乾燥したら、研究計画を確認しながら系統名を記入していきます。
次に種の準備。
研究に必要な系統の種を必要量パッキング。
ここで間違うと全てが台無しになるのでよく確認しながらの作業です。
そして播種に使うセルトレイに系統名を付け、粒状培土を詰めます。
最後に圃場。
畦切りと春起こしを実施。
スコップで畦を切り、モグラの穴や崩れた畦を修正していきます。
これが終わったら、ゴミ拾い、そして春起こし。
久しぶりのトラクターなので機械の調子も見ながら作業していきます。
とりあえず播種と圃場の準備が終わりました。
来月はいよいよ播種。
これから忙しくなりますね。
ついでに、3月29日・30日は作物学会講演会でした。
本研究室からポスター発表を1つ行いました。
今回の発表タイトルは、イネにおける下位部の支持力強化に関与する倒伏抵抗性QTL「PRL4」の同定と機能解析。
今年はZoomを使ったオンライン発表で、ポスター発表はどうやるべきか?やってみるまでよくわかりませんでしたが、過去発表した時よりも質疑応答が活発という感じでした。
発表を視聴していただいた方々に感謝申し上げます。
投稿者「作物栽培学研究室」のアーカイブ
卒論発表会と次年度に向けた準備
2月のはじめは卒論発表会。
コロナ問題で活動が制限されたりと大変な年になりましたが、無事に発表会が実施されました。
実施方法はC-Learningを使ったオンライン発表+掲示板スタイルでの質疑応答。
動画ファイルなので再生できるということで、視聴者のペースで発表を聞けるのはメリット。
また会場に人数制限がないので、今年度は1年生から発表会参加可能というのも良かったです。
質疑応答もハードルが下がるのでやりやすい面もありますね。
例年とは違うものではありますが、これはこれで良い発表会だと思いました。
本研究室より発表した4年生の2人、お疲れ様でした。
一方実験室では、次年度に向けた準備が始まっています。
まずは昨年採種したサンプルの遺伝子型の確認として、DNAマーカーでドナー由来の染色体断片がどの程度入っているのか解析。
この結果を踏まえて春に播種する系統を決定します。
また3年生は研究を正しく実施するためにトレーニング。
実験室や実験器具の使い方といった基礎的なことから、実際に機器を使っての測定、実験ノートや実験方法のマニュアル作成など、研究を行うために必要なことを体験して理解していきます。
来月からいよいよ次年度の研究が始まります。
そろそろ次年度の研究計画を完成しないといけませんね。
論文
2021年になりました。
コロナも収束どころか第3波。
今年も大変な年になりそうです。
さて、今年の初めは「論文」。
まずは4年生の卒業論文が完成したので製本。
本研究室は論文作成した上で発表する方針ですので、あとは発表の準備。
もうひと頑張りです。
ついでにもう1つ。
昨年のクリスマスに作物栽培学の国際誌「Field Crops Research」に論文が受理され、1月からオンライン公開されました。
タイトルは「Effects of rice grain protein QTL, TGP12, on grain composition, yield components, and eating quality with different nitrogen applications」で、内容は前回の論文で同定した低タンパク化QTLである「TGP12」について多肥条件下(基肥2倍、基肥1.5倍+実肥0.5倍)で栽培した場合に玄米成分、収量特性、食味特性にどのような影響を与えるか試験した結果を報告しています。
残念なことに、何の手違いか表のいくつか非常に見にくい形になっています。
読みにくい論文になり申しわけありませんが、興味のある人は読んで頂けると幸いです。
セルロースと種子と大掃除
12月。
コロナ感染が徐々に広がっていますが、粛々と業務を遂行。
まずはイネの稈内セルロース含量測定。
余分な成分を分解して最終的に残った重量からセルロースを求める方法を使っていますが、本研究室は1日に6サンプルしか測れないのが難点。
サンプルは96個だったので16日間で無事完了。
試しに最後に残ったセルロースを集めてみましたが、なかなかの量です。
続いて、種子の整理。
今年採種した種子を冷蔵庫に移すのですが、キャパに限界があるので不要な種子を廃棄するなどの対応が必要。
10個のボックスにそれぞれ何の種子が入っているか記録しながら整理していますが、保管できる種子量がギリギリです。
来年あたり大幅に見直さないとマズイですね。
最後は大掃除。
例年通り、普段は掃除しないところを中心にキレイにしていきます。
毎年のことですが、終わると清々しい気分になりますね。
今年度予定の実験はまだありますが、2020年は終わりです。
来年はどんな年になるのか、とりあえずコロナは落ち着いて欲しいですね。
今年最後の圃場作業と卒論実験完了
大変だった今年もあと2ヶ月。
やるべきことを確実に進めていきます。
まずは圃場の秋起こし。
今年は3年生の希望により、トラクター講習も兼ねて実施。
トラクターの基本構造から圃場管理法について説明、そして圃場で実習。
慣れてないとなかなかキレイにできませんが、経験を積めば大丈夫。
何事も経験です。
最後に、ついでに畑に麦類の播種をし、トラクターを洗車して終了。
4年生は卒論のための実験を実施。
最後は改良デュマ法による窒素分析。
玄米や藁部の窒素含量を明らかにしていきます。
データが揃ったらあとは論文作成。
ここからさらに大変ですが、研究を理解するために不可欠な作業なので、もうひと頑張りです。
今月の後半は教員の予定している成分分析を開始。
最初は稈の非構造性炭水化物の分析から。
予定している実験はまだまだありますが、年内中にどこまで進むかな?
収量・食味試験と稲刈り
10月になり、朝晩が徐々に寒くなってきました。
研究室では卒論研究の完成に向けて着々と予定の実験を進行中。
まずは収量調査。
実験系統の穂数、1穂籾数、登熟歩合、千粒重を解析。
地味な作業ですが、作物にとっては大事な実験です。
続いて食味試験に向けた脱穀と調整。
脱穀後の玄米をふるいにかけて未熟粒やゴミを除き、そのあとは被害粒などを丁寧にピンセットで取り除きます。
食味試験には炊飯するために十分な量の米を確保するため、この作業を研究室メンバー全員で対応。
配属された3年生を含めて4人なのでソーシャルディスタンスを保ちつつ実施。
最後に対象品種全て精米して終了。
そして収穫後1ヶ月から食味試験を開始。
炊飯米の物理特性を一粒ずつ地道に測定していきます。
一方で天気のいい日には圃場のイネと支柱を撤去。
こちらもソーシャルディスタンスを保ちつつ、協力して作業。
4年生は11月の成分分析と12月の卒論作成と忙しい2ヶ月。
もうひと頑張りです。
9月は収穫
9月になり、いよいよ収穫期です。
今年は、7月日照不足、8月猛暑、そして9月は例年通り不安定な天候。
台風の影響などを考えながら、収穫期の圃場実験やサンプリングを進めていきます。
収穫した穂サンプルは室内で2週間ほど乾燥させ、収量調査などを行います。
休日に収穫作業して、なんとか9月の実験予定を完了。
あとは全系統の採種と圃場の片付け。
ピークは超えましたが、まだまだやることはありますね。
あと9月はこれまで予定にない作業が追加されました。
コロナウィルスの影響で共同利用区の田植えが実施されず放置されたので、見たこともないほどの量の雑草が田んぼ半分を覆い尽くしていました。
回収は不可能と判断し、早めに刈り倒して分解させる作戦。
うまくいくかはわかりませんが、選択肢がないので炎天下の中2時間の除草作業。
技術職員の加藤さんと星野さんに協力してもらい、なんとか終了。
11月の秋起こしの時にすき込んで、あとはどうなるか・・・
とりあえず、加藤さんと星野さんに感謝です。
8月は猛暑
8月になり、猛暑日が続いております。
田んぼでは出穂が始まり、出穂調査と倒伏防止の紐張り作業を実施。
毎週の除草作業もあり、この暑さでの外作業は大変です。
出穂と同時に今年の実験も始まっています。
出穂期の葉身の状態を確認するため、SPAD計でクロロフィル含量調査。
出穂から2週間ごとの稈について、物理強度と成分含量の分析。
あとは草丈などの形態調査。
今年はコロナ対応で実験室の密を避けるため、実験スケジュールを変更。
例年は、圃場からサンプリングしてきた稈の物理強度を測定後、80℃で3日乾燥し、乾物重を測定してドライボックスに保管して10月に成分分析しているのですが、今年は前倒しで実施。
とりあえず乾物重を測定したサンプルはブレンダーで粉砕し、時間がかかるソックスレー抽出を進めています。
圃場作業、圃場での実験、実験室での実験とやることは多々ありますが、暑さ対策やコロナ対策も含めてうまく管理していくしかないですね。
来月はいよいよ収穫期、さらに忙しくなります。
長〜い梅雨
今年の7月は雨、雨、雨。
蒸し暑く、不快指数が高い日が続いております。
雨の降らない日を利用して圃場作業を実行。
7月にやるべきことは、除草、支柱立て、防鳥糸張り。
除草作業は土壌表面を削いで除草するピーラーのような器具を使用。
全長が約1.9mあるので広い範囲に対応できて非常に便利です。
週1回の除草作業を落水するまで続けていきます。
つづいて支柱立て。
今年立てた支柱は354本。
2日に分けて行いましたが、今年は炎天下の作業ではないので少し楽でした。
最後に防鳥糸張り。
例年通り黄色の防鳥糸を使用し、支柱に設置。
8月から出穂するので圃場作業だけでなく、実験も始まります。
日照不足が気になるので、早く梅雨が明けて欲しいですね。
遺伝子型確認と設備追加
6月。
イネも少しずつ大きくなってます。
この時期はイネミズゾウムシ、ドロオイムシ、イネツトムシによる害を防ぐため、殺虫剤を散布します。
それと毎週1回の手作業による除草作業も開始。
ある程度大きくなったところでDNAマーカー選抜した苗の遺伝子型再確認を実施。
水田圃場内で葉をサンプリングし、実験室でDNA抽出。
そのあとは多数のDNAマーカーで遺伝子型を確認していきます。
遺伝子型の確認がとれたら、次年度用の採種対象が確定します。
今月は実験室に新たに機器(最後の写真)が加わりました。
このビーズ破砕機はラボ立ち上げから設備候補として考えていたのですが、10年目にようやく導入できました。
これまでは多検体のDNA抽出の際に実験室でサンプリングの後、サンプルを持って別の建物まで移動し、そこで同機種で破砕、実験室に戻り抽出作業の流れ。
この方法だと作業が分断されているので非常に効率が悪かったのですが、今回の導入でサンプリングしながら破砕、破砕しながら抽出作業と2作業を同時進行できるので大幅に作業効率が上がります。
少しずつですが、ラボ環境が改善されてきてますね。