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3月に仙台で行われた令和6年度日本植物病理学会大会において、煉谷裕太朗助教が学術奨励賞を受賞しました。

受賞タイトルは「ウイルスの感染に必要な植物の因子の探索」で、特にポテックスウイルスと呼ばれるウイルスグループが植物に感染する際に必要とする植物の遺伝子を同定し、それが様々な植物に保存されていることを明らかにしました。今後はこの遺伝子をゲノム編集技術などを用いて欠損させることで、ポテックスウイルスに抵抗性の植物の作出が期待されます。

また、この受賞により宇都宮大学農学部の名誉に大きく貢献したことから、農学部栄誉賞も受賞しました。

ベトナム国家農業大学のHuy先生との共同研究のうち、黒豆に感染するインゲンマメモザイクウイルス(bean common mosaic virus:BCMV)の全塩基配列を決定し、論文がMicrobiology Resource AnnouncementsのHPに公開されました。
https://doi.org/10.1128/mra.00807-23

卒業生の金原さんが在学中に片手間(?)でゲノムの末端配列を決定してくれました。(西川)

奥田名誉教授(宇都宮大学在職1975年4月~2009年3月)が令和4年秋の叙勲において瑞宝中綬賞を受章しました。
ファイトプラズマ(マイコプラズマ様微生物)に関する研究活動に加え、学部長としての業績や国際交流、学会活動(日本植物病理学会)などにおける業績が評価されました。

ムギ類萎縮ウイルス(JSBWMV)に蛍光タンパク質遺伝子を入れてベクター化し、オオムギやコムギで光らせることに成功した、という内容です。

9月10日、Journal of General Plant Pathologyのオンライン版に掲載されました。こちらSharedIt

このベクターはベンサミアナタバコでは光るのに、なぜかオオムギに接種すると感染しなくなります。理由は不明で、これまで世界中で成功例がありませんでした。しかし、単子葉植物のジョンソングラスに接種し、感染させた後であれば、オオムギに全身感染し光ることを発見し(下の写真)、この分野のブレークスルーとなりました。

この研究を主に担当したのは福島さん(今年の3月に修士修了)。彼女が学部3年生の時に配属されてからこのテーマで行ってきました。当初は「接種条件をちょこっと変えるぐらいで感染させられるだろう。卒論のテーマにはちょうど良いかも。」というぐらいのノリで行っていましたが、結局、卒業時には間に合わず、引き続き修士課程でのテーマになりました。

外部資金の研究内容の一部としても組み込んだので、彼女にはちょっとプレッシャーになったかもしれません。オオムギになかなか感染せず、途中で何度も心が折れかけましたが、彼女の努力により、今回の成果につながりました。単に接種法だけでなく、蛍光タンパク質遺伝子の安定性試験やさまざまなウイルスベクターの作製を行いました。これらの努力が評価され、先日の学会で学生優秀発表賞の受賞にもつながりました。(西川)

ウイルスのゲノムやプラスミドのどの位置にプライマーがくっつくのか、というのを示した図がプライマーマップです。
プライマーDBにたまっている膨大な量の情報を活用できないか、と考えていて思いつきました。
プライマーDBには対象の生物名やウイルス名などを登録しているので、目的の生物やウイルス名で検索することができますが、そのリストからいちいち配列データを取ってきて(ゲノムの)どの位置にアニールするのか調べるのは面倒ですよね。

そこで、プライマーDBの中から使えそうなものをサクッと探すために、ウイルスゲノムの配列やプラスミドの配列をquery配列とし、それにくっつくプライマーを表示するようにしました。

検索結果の図はイマイチですが、SnapGeneViewerで扱えるファイルにエクスポートできるので便利だと思います。
どうぞご覧ください。→「プライマーマップ」(西川)

トマトが持つトマトモザイクウイルス(ToMV)に対する抵抗性遺伝子の中で、最も強力でよく使われている遺伝子がTm-22です。近年、世界や日本の各地でこの遺伝子を打破するToMVが発生して問題になっています。

我々は熊本県で見つかったToMVを使って、抵抗性打破に関与するウイルス因子の特定と打破のメカニズムを解析しました。研究成果がVirus Genesに掲載されました。

本研究は主に卒業生が学生の時に行った研究成果をまとめたものです。ToMVは感染した植物の葉を触ったり水やりの水で伝染するので扱いがちょっと面倒ですが、注意しながら研究し立派な成果が出たと思います。

また、最近開発された立体構造予測プログラムを使い、ウイルス因子と宿主因子の相互作用時の立体構造の変化を調べました。こういう図を見ていると今流行りの(?)メタバースの世界に入り込んだ錯覚に陥ります(メタバースに入ったことないですが)。ウイルスには目がないけどこういう感じの世界を見ているのでしょうかね?興味のある方はSupplementary file 1(無料)をご覧ください。(西川)

先日、やっとサーバーマシンを入れ替えました!
これまで使っていたマシンは10年以上前のもので、OSはWindows Server 2003の32 bit版!
Apacheは2.2で古く、PHPやMySQLのバージョンもかなり古いものでした(OS等のスペック的に上げられない)。とはいえ、サーバー用のマシンだったので、非常に堅牢で、大きなトラブルもなく安定して動いてくれました。

参考までに、ApacheとはWebサーバーのソフトで、Webページを表示させます。MySQLはデータベースで、データを格納しているやつです。PHPはMySQLからデータをとってきてApacheに渡したり、MySQLにデータを格納したりする、というイメージですかね。これらApache,PHP,MySQLが三位一体となって機能しています。

新サーバーは新たに買ったわけではなく数年前のマシンですが、まぁ、Webサーバーとして使うには十分なスペックでしょう。Linuxではなく相変わらずのWindows(Win10 Pro)ですが、64 bitなので、ソフトはすべて最新にしました!
しかし、これが地獄の始まりでした(笑)

サーバーを入れ替える際には、あらかじめ開発用環境で構築後、本番用サーバーに移すわけですが、全く動きませんでした。自作したDBはもちろん、トップページ用のPukiWikiも。それが昨年の年末の話。いきなり心が折れました。

主な原因はPHP。旧サーバーはバージョンが5.3でした。もちろん運用開始時は最新版でしたが、それが長い年月の間にどんどんバージョンアップされ、今は8.1になっています。記述方法がかなり厳しくなり、自作のDB用のファイルは全面書き直しを強いられました。
さらなる問題はMySQLのバージョンアップです。これも新しくなることで若干動きが異なります。

あるページを修正し、いざ動くかどうかテストして動かなかったとき、それがPHPが原因なのかMySQLが原因なのか、はたまたApacheが原因なのか全く分からないので、何をどうすればよいか途方にくれます。ブラウザの更新ボタンを押した後にページが表示されなかったときの絶望感といったらありません。これを何度味わったことか!心が折れまくりです。ドットやカンマの有り無し、クォーテーションとダブルクォーテーションの違いなど、細かいところにミスがないか目を皿のようにして数10~数100行あるソースコードを見るのは本当に大変でした(×数10ファイル)。

ただ、表示されないとはいえ「このページは動作していません」というメッセージが出るのか、あるいは全画面が真っ白だったり、途中まではちゃんと表示されるなど、少ない情報も解決の手掛かりになりました。また、記述内容を減らしてうまく動いた後で徐々にソースコードを足していく、という作業も行いました。実験でうまくいかなかったときのトラブルシューティングと同じですね!

そういった作業を年末年始の休み、土日、平日の夜を使ってずっとやっていました。そんなこんなで、だいぶ環境も整い、いよいよ本格運用の時期が来たと思いましたが、話はまだ終わりません。

実は最初から開発環境はレンタルサーバーで行っており、そのPHPのバージョンは8.0でした。レンタルサーバーを使えば作業場所がどこであれ、シームレスに作業が続けられるのが良いですよね。実際、宇都宮(平日)と東京(週末)の間で移動時にデータの持ち運びは不要ですし、クラウドサービスを使っている感覚でした。さて、PHPは今でも8.0は8.1や7.4と並んでそれぞれ今でも更新が続いています。8.0と8.1はあまり違いないだろうということであまり気にしていませんでしたが、「8.0では動くけど8.1では動かない」というものがあり、そこでも心を折られました。基本、ソースコードの文法は間違っていないはずなので、何が間違いなのかすら分かりません。でも長年の経験で(?)その主な原因はMySQLとの相性だと分かりました。実はそれに気づいたのが最近で、データをレンタルサーバーからバックアップ用のPC(PHPは8.1)に移行した際に気づきました。すべての動作を試し切れていないので本格運用後もバグを見つけました。まだバグが残っている可能性はありますが、まぁ、その時はその時です(笑)
徹底的にバグフィックスするのは労力も時間もかかりますしね。早く新サーバーを運用したいという気持ちが強かったのもあります。

いやー、結局サーバーを替えたところで機能はほとんど変わらないのに、そこまで努力する必要あるの?と思われるかもしれませんが、それがロマンですよ!
マシンのスペックがUPしているので、クリックしてから画面が表示されるまでコンマ数秒速くなっているでしょう。そう考えるとうれしいですし、替えた甲斐があるってもんですよ!ねっ?

というわけで、各種DBの機能はほとんど変わらないので紹介ページは更新しませんが、トップページ(PukiWikiで作ったポータルサイト的なやつ)だけ少し変更があるのでそこだけ追記しました。ぜひご覧ください!
直リンクはこちら->室員専用ページ
(西川)

日程決め用のサイトは世の中にいくつかありますが、作成依頼があったので作ってみました。
あの有名な伝助を参考にしました。伝助ほど高機能ではないですが、ちょっと独自の機能を追加しています。
ぜひご覧ください。
直リンクはこちら→「スケジュール調整サイト」(西川)

これも室員専用というわけではないのですが。。。
実験機器をみんなで有効に使うため、大型の機器に関してはゲノミクス研究棟の機器室に何台も共通機器があり、Web予約のページもありますが、小型の持ち運べる機器に関しては誰がどのようなモノを持っているか分かりませんので、ここに情報を集約し有効活用しようというものです。
どうぞご覧ください。
直リンクはこちら->「ポータブルデバイスDB」。(西川)