投稿者「作物栽培学研究室」のアーカイブ

構造性炭水化物含量測定と発表練習

2023年になりました。
引き続き実験を実施し、本年度分の研究を進めます。

1月は稈に含まれる構造性炭水化物(ホロセルロース、α-セルロース、ヘミセルロース)の含量を測定していきます。
アルベン抽出後のサンプルを蒸留水に入れ、70〜80℃の中で亜塩素酸ナトリウムと氷酢酸を加えながら4時間かけて分解。
ガラスフィルターに残った残留物の重さからホロセルロース含量を測定。
残留物を水酸化ナトリウム水溶液で処理し、α-セルロースとヘミセルロース含量を測定。
計8時間以上かかる実験ですが、地道に進めていきます。

一方で3年生の特別演習と特別研究ではプレゼンを学習。
最後に特別研究の内容について要旨の作成とプレゼンを実施。
プレゼンの様子はスマホで録画して自己確認してもらいます。
来年の卒論発表に向けた必要なスキルなので、しっかり勉強しましょう。

11〜12月

2022年の最後の2ヶ月は超多忙。

まずは実験。
継続してソックスレー抽出を実施しつつ、玄米のタンパク質含量やアミロース含量、稈の非構造性炭水化物含量を測定。
過去にない量のサンプル数なのでスケジュールをしっかり組んで進めていきます。

一方で3年生の特別研究も実施。
今年は「実肥」に着目して、収量特性や稈内非構造性炭水化物蓄積特性を解析。
得られたデータを整理し、図表の作成、緒言・方法・結果・考察の流れでレポートを作成。
そして1月末にはこの内容について発表。
この一連の作業を通して卒論作成までの流れを学習してもらいます。

12月の最後は種子の整理と大掃除。

年々増えて行く種子をリストを作成しながら整理・収納していきます。
今年採種した分をなんとか収納できましたが、種子用冷蔵庫のスペースがいっぱいです。
来年以降、どうするか要検討です。

毎年恒例の大掃除。
今年も教員研究室、実験室、作業室を丁寧に掃除。
定期的にある程度掃除はしていますが、普段はしない場所などは汚れが溜まってますし、床もブラッシングするとかなり汚れているのがわかります。
2日に分けて実施し、とても綺麗になりましたので満足です。

2023年も忙しくなりそうですが、地道に頑張っていきましょう!

収量調査、脱穀〜試食、秋起し

10月は採種から始まり、圃場にあるサンプルと資材の撤去。
新しく配属された3年生にも稲刈りを手伝ってもらって、無事終了。

一方で研究では各試験区の収量調査を開始。
今年は試験区も多く、収量性をターゲットにしている研究も含まれるので長期戦です。
穂を数え、籾を数え・・・と地味な作業ですが、地道に進めていきます。

それと同時に食味試験用のサンプル調整も実施。
脱穀し、ゴミや被害粒を取り除く作業を行い、得られた玄米サンプルを精米して鮮度維持のために真空パック。
1〜2合ずつパッキングし、実験実施まで保管しておきます。
ついでに、せっかくなので今年の出来を少しだけ炊飯して試食。
出来はいい気がしますが、成分分析や炊飯米物理試験の結果が出るまでよくわかりません。

最後に、田んぼの秋起しを行い、来年に備えます。
毎年田んぼが終わると少し寂しい気持ちになりますが、ここで一区切り。
やるべき実験が山のようにあるので、これから3月まで実験室で頑張ります。

収穫期

台風の影響で心配な中、なんとか無事に収穫期の実験・作業を実施。
支柱で補強していないイネも倒伏せず、作業日の天候も安定したので予定通りに進めます。

倒伏の研究では8月から行っている稈の物理試験とサンプリングに加え、圃場での押し倒し抵抗を測定。
さらに収量調査のために各株の穂をサンプリング。

あとは食味試験用のサンプリングと次年度以降の実験のための採種。

最終的に24カゴ分の穂を収穫し、2週間部屋で乾燥。
乾燥が終了したら、収量調査と食味試験のための調整作業を実施します。

10月には数系統ほどの採種と圃場の片付けがありますので、もう一踏ん張り頑張りましょう。

7〜8月

サーバーの問題が解決したのでブログを再開。

今年の7〜8月も猛暑!
外作業が辛い時期ですが、例年通り作業と実験を実施。

まずは7月。
毎週の除草作業に加え、支柱立てと防鳥糸の設置をしました。
今年立てた支柱は368本。
支柱には防鳥糸を設置し、必要なサンプルには出穂後に倒伏防止の紐張り。
これで鳥害と倒伏を抑えます。

8月。
今年は気温が高いせいか出穂も早め。
出穂に合わせて実験を開始。
倒伏抵抗性の研究では出穂から収穫期までの稈の物理性や成分を調べるため、田んぼからイネを実験室に持ってきて、形態調査、物理試験、乾燥、乾物重測定、粉砕を行います。
さらに、構造性炭水化物の測定のためにソックスレー抽出器でアルコール・ベンゼン抽出を1日2サンプルずつコツコツ進めていきます。
今年度は過去最大の倒伏抵抗性試験と成分分析の実験量が計画されているため、地道に頑張るしかありませんね。

6月

田植えが終わって一息ついたところで、6月の作業開始。

まずは除草剤と殺虫剤散布。
イネを守るため必要な作業です。

薬剤散布して落ち着いたら、水田圃場に移植した個体の遺伝子型確認。
4月のDNAマーカー選抜で選ばれた個体、昨年選抜した個体、昨年交配した個体について、水田圃場内のイネを葉を採取。
実験室に持ち帰り、DNA抽出。
このDNAサンプルについて複数のDNAマーカーで遺伝子型を確認。
実験用のサンプルなので間違えのないようにしっかりと確認していきます。

一方で、除草剤散布してから3週間すると新たな雑草が圃場に生えてきているので手作業で除草。
ついでに圃場内のイネの様子も確認。

あと、田植え等で時間が取られるので休止していたゼミを6月後半から再開。
卒業研究テーマに関係する文献についてプレゼンをし、質疑応答。
関連研究を勉強しつつ、しっかりと知識を身につけてもらいます。

今年の6月後半はまだ6月なのに猛暑日になりました。
生育の遅れを取り戻す感じにはなりましたが、想定していない気温だったので後で別の影響が出ないか、今後も見守っていく必要がありますね。

田植え完了

「代かき〜田植え」の5月になりました。

今年は雨も多かったので昨年よりは少し楽に代かきができました。
作業時間は、

1日目 3時間
2日目 5時間
3日目 5時間
4日目 5時間
合計18時間

昨年よりは3時間少ないですが、14aの面積ですからね・・・

一方田植えは今年から面積が1.5倍くらいになり、こちらは仕事量増加。
12の試験区に4084個体と空きスペースに1831個体の移植。
昨年より1.4倍の苗数の移植となりましたが、5日(27.5時間)で無事完了。

今年一番ハードな農作業がなんとか終わりました。
あとは1週間後苗の活着を確認し、除草剤・殺虫剤の散布などの管理作業を行います。


倒伏抵抗性に関与する新規QTLの論文が公開されました

本研究室で行ったイネの倒伏抵抗性に関する研究の論文「Novel QTL for lodging resistance, PRL4, improves physical properties with high non-structural carbohydrate accumulation of basal culms in rice (Oryza sativa L.)」が植物育種の国際誌「Euphytica」に受理されました。

内容は、イネの収穫期における下位部の支持力に関与する新たなQTLの同定とその機能について述べています。(図を参照)

既にオンラインで公開されています(DOI 10.1007/s10681-022-03036-6)ので興味のある方は読んで頂ければ幸いです。

4月の作業

4月になり、イネ研究のスタートです。

まずは播種。
3月から準備してきたセルトレイに消毒・浸種した種を播種していきます。
今年は8164個体分のセルトレイと苗箱1枚分のばら撒き。
昨年より1.4倍の播種量となりましたが、なんとか無事に1日で完了。
水を与えて、シルバーポリを被せ、出芽を待ちます。
気温が安定していたこともあり、1週間でほぼ均一に出芽を確認。
田植えまでプール育苗で管理していきます。

播種から2週間後、苗が大きくなってきたので選抜用の768個体からDNA抽出を実施。
昨年から設備がある程度整ったので効率的に1日で完了。
この後はDNAマーカーで遺伝子型を確認し、選抜していきます。

4月後半、田んぼの準備開始。
まずは施肥。
今年は3人で1時間程で終わり、その後はトラクターですき込み、入水開始。
この後は毎年悩む、代かき作業。
こちらの作業も効率的になるといいですが・・・

最後に、4年生は卒業研究の計画発表。
各研究テーマについて、「背景」「研究状況」「問題点」「仮説」「目的」を説明した上で実験内容の説明をしてもらいました。
発表を通して理解不足の部分などを確認できたので、今後も継続して勉強していきましょう。

春に向けて準備中

3月になり、暖かい日も増えてきました。
1ヶ月後の播種に向けて色々と準備を進めていきます。

まずは圃場実験に用いる系統の表現型を確認。
結果から播種する系統を決定します。

続いて研究計画に従い、種子の準備。
実験に必要な種子数ずつサンプル名を書いた袋に入れていきます。

最後は圃場の準備。
まずはスコップで地道に畦切り。
終わったらトラクターで春起し。
せっかくなので学生にはトラクターについても勉強してもらいました。

まもなく4月。
今年から試験区が1.5倍なので色々と忙しくなりそうです。